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<▲画像:「Electronic Arts」> |
550億ドルに上る買収案件で全額現金で行われる事例は史上最大規模だという。
今回、EAの株式を100%買収する投資コンソーシアムは3つの投資ファンドで構成されている。
サウジアラビア系の公共投資ファンドPIF、米投資ファンドSilver Lake、そして米ドナルド・トランプ大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏が設立した投資ファンドAffinity Partnersだ。100%買収となるためEAの上場は廃止となる。
買収にあたっての株式の買い取り価格は1株あたり210ドル。9月25日の終値が168.32ドルなので25%上乗せした額となり、既存の株主は1株あたり210ドルの現金を取得する形だ。
なお、550億ドル全額を投資コンソーシアムが自前で用意する訳ではなく、レバレッジド・バイアウト(LBO)を活用して行う。すなわちEA自体を担保として借り入れ、資金を調達している。借入額は約200億ドル(約3兆円)に上る。
今後、約3兆円の負債を返済していく必要があるため、投資コンソーシアムはEAの従業員のレイオフや一部スタジオの閉鎖、さらには一部IPの売却などを検討していくという。
EAには非常に多くの有力スタジオ、IPがあり、おそらく高値で売れるだろう。
一方で、強力なスタジオとIPは今後のEAを支える柱でもあるため、何を残し、何を売るのか、その判断がEAの将来を左右しそうだ。
なお、サウジアラビアのPIFは、同国のムハンマド・ビン・サルマーン皇太子兼首相が率いるファンドであり、エンターテインメントやスポーツの分野で数多くの投資を行っている。
ゲーム業界については任天堂、カプコン、コーエーテクモゲームスなど日本の一部メーカーの株式をそれぞれ約5%保有し、SNKに至っては約96%を取得済みだ。韓国の大手メーカーであるネクソンの株式も一部所有している。
また、スポーツの分野での投資事例も多く、英プレミアリーグのニューカッスル・ユナイテッドFCを複数のファンドで構成する投資コンソーシアムで買収済みだ。近年はF1の買収を目指していると噂になったこともある。
EAはスマートフォン向けのゲームも数多く手掛けているだけに、今回の買収劇が同社の今後の事業展開にどう影響してくるのか注目だろう。
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