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【レビュー】「1MORE P50」は高音質、リケーブル対応、コスパの良いハイレゾ有線イヤホン

ヘッドホン/イヤホンブランド「1MORE(ワンモア)」が手掛ける有線イヤホンのラインナップにおいて最もハイグレードな製品がハイレゾ認定イヤホン「1MORE ペンタドライバー P50」(以下、1MORE P50。型番:EH904)だ。本記事ではその1MORE P50の実機レビューをお届けしたい。

「1MORE ペンタドライバー P50」
<▲写真:「1MORE ペンタドライバー P50」>

1MORE P50の標準価格は23,999円(税込、以下同)だが、割引クーポンやタイムセールなどを利用できれば2万円を切るので、購入時にはクーポン等のチェックを忘れずに行いたい。

筆者はこれまで1MORE製品を複数試してきたが、共通する特徴は、比較的癖の少ないバランスの取れたサウンドチューニング、価格の割に品質が良く、デザインも優れていることなどだ。

「1MORE P50」のイヤホン部
<▲写真:「1MORE P50」のイヤホン部>

今回紹介する1MORE P50も同様に癖が少ない高音質を楽しめる有線イヤホンで、コスパも良く、デザインもスタイリッシュ。

現在1万円以下、もしくは1万円台でも音質に不満のあるイヤホンを使っている方にはステップアップイヤホンの有力候補の一つになると思う。本記事が購入検討の参考になれば幸いだ。

なお、本レビューはメーカーからの提供品を用いて行っている。

1MORE P50のAmazon、楽天市場での製品ページへのリンクも掲載しておく。



1MORE ペンタドライバー P50のレビュー

1MORE ペンタドライバー P50の概要

まずは1MORE ペンタドライバー P50の概要を見ていきたい。

1MORE P50は高音質を追求した有線ハイレゾイヤホンで、「Hi-Res Audio」(ハイレゾオーディオ)認定も受けている。

「1MORE P50」の概要(※メーカー資料より)
<▲写真:「1MORE P50」の概要(※メーカー資料より)>

ドライバユニットはダイヤモンドライクデュアル磁気回路 ダイナミックコイルユニットと4つの平面振動板ユニットで構成される5ユニット構造で、高い駆動力をもち、高音から低音まで細かなディテールを再現できるという。

ドライバユニットの構造(※メーカー資料より)
<▲写真:ドライバユニットの構造(※メーカー資料より)>

ユーザーそれぞれが快適なフィット感を得られ、最適な音質を楽しめるようにイヤーチップを多数同梱している点も見逃せない。

イヤーチップの概要(※メーカー資料より)
<▲写真:イヤーチップの概要(※メーカー資料より)>

シリコン製のイヤーチップは5サイズ、フォームタイプのイヤーチップも3サイズ用意されている。イヤーチップは音質も左右するので好みが分かれると思うが、いずれかがフィットすると思う。万一合わない場合でもチップハメ込み部のノズル形状は一般的なシンプルな円筒形状なので、市販のイヤーチップとの交換も可能だ。

1MORE P50のイヤホン本体のハウジングは多数の外耳道モデルをサンプリングして設計されているという。

人間工学に基づいた設計について(※メーカー資料より)
<▲写真:人間工学に基づいた設計について(※メーカー資料より)>

イヤーチップハメ込み部の根本は45度の角度がついたカーブノズル形状になっていて耳とのフィット感を向上させ、物理的なノイズカット能力を28dBまで高めているという(※実際にはイヤーチップやフィッティング状態によって左右されるはず)。

ケーブル素材には銀メッキ無酸素銅を採用し、防弾シルクテンシルファイバーで包み込み、強度と耐久性を確保。マイクロフォニックノイズも軽減されているという。

ケーブルについて(※メーカー資料より)
<▲写真:ケーブルについて(※メーカー資料より)>

ケーブルはイヤホン本体と直付けではなくMMCX形式のコネクタを用いて脱着可能になっている。MMCXコネクタを採用した市販ケーブルとのリケーブル(ケーブル交換)もできる。

なお、ケーブルはコネクタ根本から数cmの長さに関しては完全なフリーではなく、フック型に形作られている。根本の断線対策には良いが、装着時に若干慣れを必要とする。

フィッティングとリモコンの位置について(※メーカー資料より)
<▲写真:フィッティングとリモコンの位置について(※メーカー資料より)>

また、R側(右側)のケーブルにはインラインでマイク付きのリモコンが搭載されている。クロストークやエコーの少ないクリアな通話を可能とするMEMSマイクと、複数の操作が可能なボタンが搭載されている。ボタンは3つ。

1MORE P50のインピーダンスは32Ω(オーム)。スマホ、ウォークマンなど様々な機器で特に問題なく大音量を出すことができると思う。

最終的なサウンドチューニングは1MOREの他製品と同様、Luca Bignardi氏が担当。グラミー賞受賞のサウンドレコーディストの同氏は1MORE製品だけでなく他社製品のチューニングも数多く手掛けている。同氏のチューニングは癖が少なく万人向けだと思う。


1MORE P50のスペック

1MORE P50の基本スペックは下表の通り(製品付属のマニュアルから)。

「1MORE P50」の基本スペック(マニュアルより)
<▲写真:「1MORE P50」の基本スペック(マニュアルより)>



1MORE P50パッケージと付属品

1MORE P50のパッケージは下の写真の通り。パッケージ自体、高級感あるデザインになっていて質感も高く、所有欲を満たしてくれる。

「1MORE P50」のパッケージ
<▲写真:「1MORE P50」のパッケージ>

1MORE P50のパッケージ内容は、1MORE P50イヤホン本体、ケーブル、シリコンイヤーチップ、フォームイヤーチップ、3.5mm to USB Type-Cケーブル、収納ポーチ、マニュアル。

「1MORE P50」の付属品
<▲写真:「1MORE P50」の付属品>

3.5mm to USB Type-Cケーブルは短いもの。3.5mmオーディオ端子のないスマホやタブレット、ノートPCなどで使える。
USB Type-C to 3.5mmオーディオケーブル
<▲写真:USB Type-C to 3.5mmオーディオケーブル>



イヤホン本体デザイン

イヤホン本体のデザインはパッと見には至ってシンプルだが、人間工学に基づいた設計によってイヤホンノズル部(イヤーチップ取付ノズルから下の根本の部分)は45度のカーブノズルになっているなど、こだわりのデザイン。

「1MORE P50」の全体写真。3.5mmプラグはL字型
<▲写真:「1MORE P50」の全体写真。3.5mmプラグはL字型>

「1MORE P50」は質感の高いデザイン
<▲写真:「1MORE P50」は質感の高いデザイン>

特筆すべき点は前述のカーブノズル形状だと思うが、それ以外は非常にオーソドックス。そして小さく軽い。また質感も高い。安っぽさを全く感じない高品質なデザインに仕上がっていると思う。

イヤーチップを外した所。ノズルは根本に向かってカーブしている
<▲写真:イヤーチップを外した所。ノズルは根本に向かってカーブしている>



イヤーピース

イヤーピースは一般的なシリコンタイプが5サイズ、フォームタイプが3サイズ同梱されている。

付属のイヤーチップ(※シリコンタイプのMサイズはイヤホンに装着済み)
<▲写真:付属のイヤーチップ(※シリコンタイプのMサイズはイヤホンに装着済み)>

イヤーチップの表面
<▲写真:イヤーチップの表面>

イヤーチップの裏面
<▲写真:イヤーチップの裏面>


シリコンタイプは「XL」「L」「M」「S」「XS」の5サイズで、購入時にはMが装着されている。イヤーチップの収納ボックスには直径も記載されていて、それは下記の通り。Mサイズのみ分からない。

  • XL:14.3mm
  • L:12.3mm
  • M:?mm
  • S:11.0mm
  • XS:10.6mm

シリコンタイプのイヤーチップは、XLのみダストフィルターがない。他の4サイズには耳垢などがイヤホンノズルに入らないようにダストフィルターが設けられている。

シリコンタイプのイヤーチップ。左から順にXS、S、L、XL。XLのみダストフィルター無し
<▲写真:シリコンタイプのイヤーチップ。左から順にXS、S、L、XL。XLのみダストフィルター無し>

一方の低反発素材を使ったフォームタイプのイヤーチップは「L」「M」「S」の3サイズ。多くのユーザーがシリコンタイプを好むと思うが、合わないときにフォームタイプがあるのはありがたい。耳栓のように押しつぶしてから耳に挿入する。

フォームタイプのイヤーチップ
<▲写真:フォームタイプのイヤーチップ>

フォームタイプのイヤーチップのサイズと直径は下記の通り。

  • L:12.8mm
  • M:12.0mm
  • S:11.0mm

音のバランスはサイズの他、シリコンタイプとフォームタイプとで異なる。こればかりは本当に人それぞれ。


ケーブルとコネクタ

ケーブルは前述したようにMMCXコネクタでイヤホンと接続する。リケーブルできるので、断線時にはケーブルだけ交換するという対応も可能。

MMCXコネクタを引っ張ってイヤホン本体から外した所
<▲写真:MMCXコネクタを引っ張ってイヤホン本体から外した所>

コネクタの接続部は回転する。製品によってはコネクタの軸(樹脂パーツ)側に切り欠きを設けるなどして回転しないようにしている製品もあるが、1MORE P50の場合は、回転しないと明らかにイヤホンを耳に装着しにくくなるので、あえて回転するようにしているのだと思う。経年劣化で接触不良が生じないかという不安は若干あるが、暫く試用した限りはあまり心配しなくても大丈夫そうだった。

LRマークは内側に印字。コネクタから数cmはフック形状になっている
<▲写真:LRマークは内側に印字。コネクタから数cmはフック形状になっている>

ケーブルはコネクタ付近の数cmのみ、被覆の上に追加のチューブが被せられている。このチューブがやや硬めでフック形状になっている。そのため装着の際に少し慣れがいる。反面、コネクタの根本に余計な負荷が掛からないので断線対策にもなっている。

カーブノズルの形状やケーブル根本のフック形状が分かると思う
<▲写真:カーブノズルの形状やケーブル根本のフック形状が分かると思う>

ケーブルそのものは柔らかく、取り回しやすい。タッチノイズは少な目だが、皆無ではない。とはいえ、シュア掛け(耳の上に掛ける1MORE P50のような装着スタイル)なので、タッチノイズが乗る機会は少ない。


フィット感

フィット感は人それぞれだという点を前提に読んで欲しいが、少なくとも筆者の場合は特にストレスなく装着し続けられている。装着状態は下に掲載したマニュアルの写真から分かると思う。

フィッティングの参考図(マニュアルより)
<▲写真:フィッティングの参考図(マニュアルより)>

ハウジングが小さく、軽いので単純に負荷が少ない。ただ、耳の穴の外、耳介とハウジングが全く接触しないという訳ではないので、人によっては負荷を感じるかもしれない。

上に掲載したマニュアル写真からも分かると思うが、カーブノズルで耳の穴を塞ぎ、ハウジングを耳介にハメ込むようなフィッティングなので、ハウジングが耳と接するポイントがある。この接点が人によっては負荷になるかもしれないが、筆者の場合は特にストレスはなかった。前述したように、根本的に小さいため、恐らく多くのユーザーが問題ないと思う。

「1MORE P50」のイヤホン部
<▲写真:「1MORE P50」のイヤホン部>

「1MORE P50」
<▲写真:「1MORE P50」>

また、ノズル(イヤーチップ)を耳の穴に入れ、根元のカーブノズルで穴を塞ぐようなフィッティングなので、イヤホンはズレにくい。そのため、ウォーキング、ランニングなど、体を動かしているときの使用にも問題が生じにくいと思う。

ただ、装着に関してはやや癖があり、手探りでサクッと装着とはいかない。

前述したようにコネクタ部から数cm、ちょうど耳の上に掛かる部分に予めフック型の癖が付けられているので、掛けやすいそうで掛けにくい。

フック形状
<▲写真:フック形状>

装着時には手元でイヤホンの右左を確認するだけでなく、コネクタ接合部を回転させて正しい向きにしてから耳にフック部を掛け、イヤホンを耳の穴に埋め込むという流れになる。これが若干面倒。ただ、耳の上側のケーブルが浮くこともないし、フィット状態は外から見た時にスッキリと綺麗になるので、幾つかの要素とのトレードオフの関係にある。先ほど述べたように断線もしにくいと思う。いずれにしても、少し使っていると装着の仕方も慣れてくる。


音漏れとノイズカット

音漏れは少ない。カーブノズル部が耳の穴を塞ぐような格好になるので、音が漏れにくい。当然、外の環境音も結構カットされて耳に入ってこない。

カーブノズル形状
<▲写真:カーブノズル形状>



音質

1MORE P50の音質は素晴らしいと思うし、価格比で見た場合にはより以上だ。

「1MORE P50」
<▲写真:「1MORE P50」>

同価格帯の他の製品と比べても変な癖もなく聴きやすいし、解像度も高い。それこそ2万円以下の価格帯の製品やワイヤレスイヤホンと比べると明確に音質の差を感じられると思う。

同じ1MORE製品と比べた場合は、音のタイプ、出方はワイヤレス&有線対応のヘッドホン「1MORE SonoFlow」と似ているし、ワイヤレスイヤホンの「1MORE PistonBuds Pro」とも似ている。しかし、音の質、解像度、クリアさは段違いで1MORE P50の方が良く、単純に1MORE SonoFlowの音質をグレードアップしたようなサウンド感。ちなみに、私は1MORE SonoFlowのレビューにおいてクリアな音だと褒めているように、1MORE SonoFlowも十分に良い。また、クリアさに関して言えば同じ1MORE製品でもオープン型の「1MORE Fit S50」は圧巻の良さ。

話を戻すと、1MORE S50の音質は十分に良いが、若干気になる点もある。低音がそれなりに押し出されたバランスとなっていて迫力あるサウンド感だが、若干ボワついている。そのボワついた感じが中音域、高音域にまで影響していて全体的にやや籠った感じを受ける。先ほどは1MORE P50の音はクリアだと書いたが、1MORE S50ほどではないし、筆者が普段使っているEtymoticの「ER4SR」のクリアさと比べると落ちる。ただ、ER4SRの値段は2倍以上なので当然だろうし、ER4SRに勝る部分も多い。ER4SRは中音、高音が瑞々しく綺麗な一方で低音が弱く迫力に欠けるし、とにかく断線しやすいが、1MORE P50は設計上断線しにくいし、低音の迫力がある。異なる点で健闘しているし、1MORE P50は基本的に価格比で見ると相当良いと思う。

おそらく1MORE P50を購入した後で音質に不満を感じる方は少ないだろう。

ちなみにER4SRもMMCXコネクタを使っているので、ケーブル交換などもできる。

筆者所有の「ER4SR」。このイヤホンもMMCXコネクタを採用したリケーブル対応
<▲写真:筆者所有の「ER4SR」。このイヤホンもMMCXコネクタを採用したリケーブル対応>

ER4SRのケーブルに1MORE P50のイヤホンを取り付けてみた所
<▲写真:ER4SRのケーブルに1MORE P50のイヤホンを取り付けてみた所>



インラインリモコンと操作性

1MORE P50のケーブルにはインラインリモコンが設けられている。

インラインリモコン。左右のボリュームボタンは凸、中央ボタンは凹になっている
<▲写真:インラインリモコン。左右のボリュームボタンは凸、中央ボタンは凹になっている>

R側のケーブルの途中にあり、イヤホン装着時には顎の右横辺りに来る。綺麗に垂直に垂れ下がるので、上下の音量ボタンの押し間違えもせずに済むし、操作性は良い。「どっちが音量増だっけ?」と一つ一つ押して確認する必要はない。

また、R側にリモコンがあるからといってL側との負荷の違いも感じない。

リモコンには3つボタンがあり、中央ボタンが再生/一時停止や通話の応答/切断などのアクションに割り当てられている。手探りで操作できるように、中央ボタンが凹形状、音量ボタンが凸形状と分かれている。

リモコンの裏面にマイク穴
<▲写真:リモコンの裏面にマイク穴>

ボタンは見た目の高級感もあるし、押し心地も良い。さすがハイグレードモデルといった設計。リモコンの質感が安っぽいと外で使う気にならないが、1MORE P50は高級感があるので安心。


総括

1MORE P50は、1MOREの有線イヤホンのラインナップにおいて最もグレードの高い製品であり、実際に高音質、高品質のデザインで小型軽量でストレスの少ない製品に仕上がっている。

「1MORE ペンタドライバー P50」
<▲写真:「1MORE ペンタドライバー P50」>

バランスの取れたサウンドチューニングながら、低音もある程度出て迫力あるサウンドで、音楽や動画、ゲームなどに向いている。

イヤホンの根本数cmのケーブルに最初からフック型に癖がついているので、装着には若干の慣れが必要だが、フィット感は良い。

1MOREのワイヤレスイヤホンやヘッドホンを使っている方、もしくは他社の2万円以下の製品からのステップアップ製品としては有力候補になると思う。聴いた瞬間にそれらの製品との違いを感じると思う。

有線イヤホンは上を見ていくとキリがなく、2万円という価格帯は高額ではありつつも、より高額の製品と比べると安い、現実的なライン。明確に1MORE P50より上の音質を求めると4万円以上の価格帯の製品になり、さすがにオーディオマニアの世界に足を踏み入れるレベル。それだけに、1MORE P50はコストパフォーマンスも優れた、有力なハイエンド有線イヤホンの一つだと思う。

下に掲載したのはAmazonの商品リンク。


情報元、参考リンク
Amazon/1MORE ペンタドライバー P50製品ページ
楽天市場/1MORE ペンタドライバー P50製品ページ

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