Androidニュース&アプリ情報メディア

【実機レポート】AV機能を進化。ソニーの「Xperia ZL2」(SOL25)【au2014夏モデル】

5月8日に開催されたau 2014夏モデルの発表会では、ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia ZL2」(SOL25)も発表された。GAPSISを読んでいる人には言うまでもないと思うが、これはグローバル市場向けのXperiaの新機種「Xperia Z2」の国内版(au版)にあたる。基本的な機能はXperia Z2と大差ないのだが、au版ということで、少しグローバルモデルとは異なる印象を持つデザインが採用されている。

Xperia ZL2(SOL25)。インパクトは強くないが上品ではある。

おそらくはNTTドコモ(以下、ドコモ)からもXperia Z2ベースのモデルが発表されるだろうが(ドコモは14日に発表会を開催する)、そちらはグローバルモデルそのもののデザインになると思う。au版はそれとは何らかの差別化を図らなければならないということなのだろうか? ともかく、Xperia Z2的なエッジの効いたデザインではなく、見た目が全く違う。

まあ、これは同じくau夏モデルとして発表されたシャープのスマートフォン「AQUOS SERIE」も同じで、ソフトバンクモバイルから昨年リリースされた端末がクールなイメージを持つデザインだったのに対して、今回、auから発表された端末は3辺の狭額縁スタイル「EDGEST」は継承しているものの、背面などのデザイン全体はおとなしくなっている。こうしたマイルドなデザインがauの芸風なのだろうか?

さて、本題のXperia ZL2を見ていきたい。


■ディスプレイ、本体デザイン

Xperia ZL2のディスプレイのサイズは約5.0インチ、解像度はフルHDで、これは一世代前のモデルである「Xperia Z1」と変わらない。ディスプレイが「トリルミナス」にであることも同じで、表示色域が広い。一つ大きく変わったのは、LEDで、新開発の「Live Color LED」というものになっている。従来よりも緑と赤の色域が広がったとされる。例えばエメラルドグリーンの海や、夕焼けなどがより美しく再現できるようになったということだ。

しかし、発表会の短い時間で端末を触っただけでは、その表示クオリティの変化はあまり感じられなかった。

技術面では超解像技術である「X-Reality」は継続採用されている。また、画面への映り込みの少ない「オプティコントラストパネル」というパネルが採用されており、屋内・屋外どちらでも画面への映り込みが少なく、見やすくなったとされる。

次に本体デザインだが、丸みを帯びていて、背面などは優しい曲線を描いている。


カラーバリエーションはホワイト、ターコイズ、ブラックの3色。

カラーバリエーションには、わりとスタンダードな白と黒に加えて、オシャレな「ターコイズ」(ブルー)がある。ドコモのように紫などの先鋭的なカラーは採用されていない。

この中では白や黒はスタンダードな色ながらも、白は透明感があって美しいし、黒も単純な黒というよりも光の加減で他の顔も見せてくれる感じでオシャレだ。

また、背面の「Xperia」のロゴの影が光の方向によって変わるのだが、これが美しい。Xperia ZL2のバックパネルには半透明部分があり、この半透明のバックパネルの前後から加飾することで、ロゴが浮かび上がるような感じを実現しているのだという。芸が細かい。

Xperia Z2とはデザインテイストは異なるが、全体に品格のあるオシャレなデザインということになるだろうか?

ちなみに半透明感を特に強く感じられるのは白だ。一度実機で確認してみてほしい。

ターコイズはXperiaのロゴが浮いてみえる。ホワイトも同様。

ブラックモデルの背面はマット。ブラックはかなりクールだ。


■カメラ機能

カメラ機能は4K解像度(3840×2160ドット)での動画撮影ができることに加えて、ARエフェクト機能などのカメラ関連アプリも強化されている。気のせいか、ARエフェクト機能の恐竜なども前よりいい感じだ。ちなみにARエフェクト機能というのは、写真上に恐竜や妖精などのキャラクターなどを重ねあわせられる機能で、今回は動画撮影にも対応している。

恐竜や火山が表示されるARエフェクト機能。ARのテーマは、ダイビングなど、他にも色々とあって楽しい。

4K動画の撮影に関しては、そもそもテレビやディスプレイが4Kじゃないと素材を生かした表示ができないというのも確かだが、Xperia ZL2での再生時にはある程度の便利な機能がある。まず、普通に再生するとXperia ZL2では4K解像度で撮影した動画もフルHD表示になる。しかし、元々はその4倍の解像度で撮影されているので、2倍にズームした状態でもフルHDの解像度保ったまま再生ができるのだ。ズームしてもキレイに見える、というのは意外と良い。

そのため、4Kテレビや4Kディスプレイを持っていなくともXperia ZL2だけでも4K動画は十分に魅力を感じられるものとなっている。

また、MHL3.0対応の4Kテレビを持っている方は別売りのMHLケーブルを使って4K解像度のままテレビ出力することができる。

ちなみにメインカメラがコンパクトデジタルカメラと同クラスの1/2.3型、有効画素数約2070万画素のCMOSセンサーを採用し、広角27mm、F値2.0のソニー製Gレンズを搭載していることはXperia Z1と同じ。

カメラの撮影モード。


■オーディオ機能

フロントにステレオスピーカーを搭載し、ステレオで音を聞くことができるようになったのは楽しい。そして、ソニー独自のバーチャルサラウンド機能の「S-Forceフロントサラウンド」にも対応するようになったので、映画などを見るときは違いが出てきそうだ。

また、ハイレゾ音源にも対応し、ハイレゾ音源のUSBデジタル出力ができるようになったので、関連機器と組み合わせてハイレゾ音源を楽しむことができるようになった。とはいえ、やはり本体でハイレゾ出力できないのは残念だ。

そして、オーディオ再生時にデジタルノイズキャンセリングが使えるようになったのも大きい。この機能に対応したイヤフォンを接続しなければ、デジタルノイズキャンセリングを使えないのだが、Xperia ZL2には対応イヤフォンが付属しない。そのため、ノイズキャンセリングを使いたい人は対応イヤフォンを購入しなければならないのは残念なポイントだ。

対応イヤフォンはウォークマン用も含めていくつかあるので、コストと機能のバランスを見ながら選択すればいい。

そして、Xperia専用の「MDR-NC31EM」というヘッドセットが5月下旬に発売される予定になっている。このヘッドセットは通話も可能だ。しかも価格は1万円しないという話なので、コストパフォーマンスも高い方だろう。

デジタルノイズキャンセリング機能は便利だが、対応イヤフォンが別売りなのは痛い。

ちなみにこのデジタルノイズキャンセリング機能は周囲の騒音を最大で約98%低減できるというもので、ウォークマンの「NW-M505」などと同等になり、同じく3つのモードを搭載する。電車・バス、航空機、室内という3つの動作モードで、騒音環境に合わせてモードを選択すれば、最適な状態で音楽を楽しむことができる上、ファミレスでの読書などの際に騒音をカットして集中したい時にも便利だろう。いわゆる耳栓代わりの使用もできる。

防水防塵仕様のモバイルスピーカー「SRS-X1」も展示されていた。「au+1 collection」でも販売される。

SmartBand SWR10はXperia ZL2と連携して使うことができる。


■主なハードウェア仕様

主なハードウェア仕様は下記の通りだ。

OSはAndroid 4.4、プロセッサはQualcomm MSM8974AB 2.3GHz クアッドコア、メモリは3GB RAM、32GB ROM、ディスプレイサイズは約5.0インチで解像度は1,920×1,080ドット、バッテリー容量は3,000mAh、本体サイズは約72 × 137 × 10.8 mm、重さは約167g、防水・防塵仕様、下り最大150Mbpsのau 4G LTE対応、WiMAX 2+対応、Wi-FiはIEEE802.11a/b/g/n/ac準拠、Bluetoothは4.0、NFC対応、Miracast対応、ワンセグ、フルセグ、おサイフケータイ対応など。


■Xperia ZL2のポテンシャルは?

Xperia ZL2はカメラ、オーディオなどAV機能は進化しているが、それを求めない人にとってはあまり進化がなく、魅力を感じなそうな製品だ。

また、その進化の恩恵を得られる人は限定的だ。4K動画撮影に対応しても、それを再生表示できるのは4K表示環境がある人だけだし、現時点では、それは日本国民の中でもごくわずかだ。

また、ノイズキャンセリング機能を搭載したのはいいが、対応イヤフォンがオプションなのも痛い。一般的なAndroidユーザーには微妙なポイントだろう。また、本体だけでハイレゾ音源の再生ができないのも痛い。

Xperia ZL2はAndroid端末としての進化はあまり強く感じないが、ソニー好きであれば、納得できる進化なのかもしれない。

(記事:一条真人

【情報元、参考リンク】
ソニーモバイル/Xperia ZL2製品紹介ページ
au/Xperia ZL2製品紹介ページ

読者&編集部コメント欄

この記事のコメント:0 件