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スマートフォンの発熱、充電端子の焼損への相談が急増。国民生活センターが調査結果を発表

国民生活センターは20日、「スマートフォンの充電端子の焼損や本体の発熱に注意」と題した資料を発表した。国民生活センターによれば、スマートフォンの充電端子の焼損や本体の発熱等に関する相談が2009年度は2件だったものの、2012年度には523件と、近年急増している。


相談内容によっては、充電中に充電端子が焼損してしまった事例や、本体の発熱などによってやけどを負ってしまった事例もあるという。

そのため、これまでにPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられた相談内容を元に調査を行った結果を発表し、注意喚起を行うことにしたという。

まず、これらの相談は2009年から2013年12月31日までの間に計1032件が寄せられている。うち、やけどをした、もしくはやけどをしそうになったという危害・危険情報は268件だ。このような危害・危険情報も近年増加傾向にある。

実施されたテストは下記2件だ。

・充電端子の発熱や焼損に関する事例
・本体の発熱に関する事例


■充電端子の発熱や焼損に関する事例

「購入から1か月のスマートフォンを寝室の枕元で、充電器に接続して就寝した。翌朝、枕元をみると、スマートフォンと充電器の接続部分が焼け焦げていた。原因を調べてほしい」という依頼をもとにテストを実施。焼損した状況を調べるため、焼損品の観察、分解調査を行った上で、同モデルを使って充電端子の挿抜テスト、充電端子の破損や異物の付着を想定したテストを行い、現象が再現するか調査。

観察結果、本体側、充電器側、どちらの端子にも発熱による損傷が見られた。電池パックの異常、水濡れシールの反応はない。


分解調査の結果、充電端子の内部にある5本の接点端子は損傷が見られるものの残存した状態。この中で電源のDC5Vを供給する1番ピンの周辺の損傷が最も激しい。同じく充電器側もDC5Vを供給する1番ピン周辺が最も激しく損傷している。しかし、充電器自体は電圧、電流とも正常に出力されることが確認された。


また、挿抜テストを計300回行った結果、挿抜で充電機能に影響を与えるようなダメージは確認されなかったという。

次に、同モデルを使って充電端子の接点部を故意に破損させ、ショートに近い状態を模擬的に作成して充電したところ、接点部が100度を超える温度にまで上昇したという。さらに、充電端子に導電性の異物を混入させて充電させた場合は、接点部が160度を超える温度になったということだ。


調査の結果、スマートフォン本体、充電器の機能は正常であったため、充電の際に端子部がショートに近い状態となって発熱したのではないか、と考えられるとしている。原因は端子の破損もしくは異物の混入ではないかということだが、分解調査の際には異物の痕跡が確認されていないこともあり、明確な原因特定には至っていない。


■本体の発熱に関する事例

「1年前に契約したスマートフォンが、使用中に熱くなりすぎるので温度を計測してほしい」という依頼があり、調査を実施。依頼者によれば通話やアプリを使用すると、すぐに本体の温度が上昇して熱くなり、使用中のアプリが強制終了する、という。結果、ゲームアプリやテレビ電話を利用したとき、10分程度の使用時間でスマートフォン上部の温度が表側で最大約54度、背面側で最大58度にまで上昇することが確認された。

調査の結果、発熱はCPUへの負荷増大によるものと考えられるということだ。




スマートフォンの過度の発熱は、特に1年以上前の一部モデルを中心に、複数モデルでよくみられた問題だが、スマートフォンに限らず、モバイル端末は現在の最新モデルにおいてもCPU負荷が高まると機種によっては熱いと感じるほどの発熱が起きる。機種によっては上手く設計され、それほどの発熱を感じないものも増えてきているので、改善はされてきているはずだ。しかし、発熱した本体を長時間触っていると低温やけどになる可能性もあるので注意したい。

低温やけどは、体温よりも若干高めのものに皮膚の同じ場所が長時間接触することで起きるもの。例えば、熱源に触れた皮膚の表面温度が45度付近では1度上昇するごとにやけどに至る時間は約1/2になる。皮膚の表面温度が44度だと200分ほど、50度では3分程度でやけどに至る可能性があるので、54度の本体を触るのは注意が必要だ。


国民生活センターは、下記アドバイスを消費者向けに送っている。

■スマートフォンを充電する際は、毎回充電端子の取り扱いに注意する。また、異常を感じたときは充電を中止する。

充電端子に導電性の異物(鉛筆の芯や金属片)が入ったり、液体が付着した状態で充電すると、ショートしてしまい、充電端子が発熱し、焼損する可能性がある。また、充電端子の挿しこみ時に斜めに挿そうとして端子を破損させた場合なども注意が必要だ。


■やけど防止のため、スマートフォンを使用する際、充電する際は、長時間肌に密着させない

スマートフォンは本体温度が一定温度に達すると、CPU負荷を下げるために使用中のアプリを強制終了したり、充電を停止させるなどの安全機能が組み込まれているものの、熱いと感じたときには十分に温度が下がるまで使用を控える。また、充電の際、使用の際はやけど防止のため、長時間直接肌に触れたり、ポケットに入れるなど、長時間密着させないようにする。

【情報元、参考リンク】
国民生活センター/スマートフォンの充電端子の焼損や本体の発熱に注意-なかにはやけどを負った事例も-

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