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【一条真人的Androidライフ】第40回:市場分化の波はどこに漂着する?

先のCESの記事で先進国向けの高機能端末とローエンド端末の分化の話をしたが、MWC(2月24日からスペインで開催中の携帯電話関連の展示会)ではその流れがよりはっきりとした形で現れてきたようだ。

ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia Z2」は4K動画の撮影を可能にし、デジタルノイズキャンセリング機能まで搭載し、ハイレゾ音源の再生に対応するなど、AV機能をより極めたものになったのに対して、Nokiaは日本円で4,000円程度の端末「Nokia 220」を発表した。また、Firefox OS搭載端末に至っては2,500円程度というレベルにまで達している。

4K動画撮影、デジタルノイズキャンセリング搭載などAV機能に優れるXperia Z2

以前はFirefox OSの搭載端末はローエンドモデルでも100ドル程度だったので、低価格化がさらに進んだことになる。

Nokia 220は新興国向けの端末だが、やはり飛躍的な低価格化だ。

先進国でのスマートフォンの需要は一巡しており、もはや大きな伸びは期待できない。買い替え需要をどう喚起するかだけなので、必然的に高機能機がアピールされる。

低価格のNokia 220

そして、メーカー各社が今後、より成長するには新興国市場をマークするために低価格端末に力を入れていく必要がある。しかし、この低価格化は、アップサイドの先進国の価格にも影響を及ぼすことは必至であり、ハイエンド端末以外の端末の価格をも引き下げていくはずだ。

日本のイー・モバイルの端末は、ある意味、近未来を示しているのではないか? と思う。

今や、「Nexus 5」がMNPで5,000円という領域に達したし、通信料金も安い。言うまでもなく、この様なハイエンド、ローエンドという分化の波は通信料金にも波及する。高い通信料金を払い続ける人もいれば、節約したい人もいる。低コスト運用という需要に応えるため、MVNO市場も栄えていくことだろう。

この波は結局のところ、先進国市場と新興国市場という違いだけではなく、先進国市場の中においても本格的に起こることだろうし、それはもう始まっている。スマートフォンバブルはもう終わった。少なくとも終わりかけているのは確実だろう。

今後、スマートフォンのバリューを引き上げるために、通信速度の高速化、カメラの高性能化、ディスプレイの大画面化、オーディオ機能の高音質化などが行われることだろうが、それはその機能を必要としない層のさらなる分離を産み、市場の分化を加速させることになるのではないだろうか?


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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