【一条真人的Androidライフ】第7回：スマートデバイスとスマートTVの明日はどっちだ？

ソニー、パナソニック、サムスン、LGエレクトロニクス、最近、多くのメーカーがさまざまなスマートTVを提案してきている。しかし、全体を見て「これがスマートTVだ」という決定打的なものは見当たらない。まあ、そもそもスマートTVの定義はあいまいであり、各メーカーともさまざまなトライをして、どれがスマートTVというものとしてエフェクティブなのかを探っている状態だ。

ユーザー・インターフェース的な工夫を除けば、どのメーカーもSNSなどのアプリをインプリメントしたり、買い物を手軽にしたり、ネットを使ったり、ビデオ・オン・デマンド・サービスを利用したりするというのが、主なスマートTVの提案だ。当然、これらはPCやスマートフォン、タブレットなどでもほぼ可能なことだ。テレビでなければならない提案ができるか？　がスマートTVのキーとなると思うが、それを今のところ、どのメーカーも見つけることができないようだ。

最近、U-NEXTの視聴などでAndroid端末でしばしば「Twonky Beam」を使うのだが、Twonky BeamではU-NEXT以外にさまざまなサイトを見ることができる、情報サイトやニュースサイトでビデオをテレビにビームでき、これがなかなか面白い。当然、情報を検索するキー入力でもスマートデバイスのほうが楽だ。

今後、スマートデバイスで情報を検索して必要に応じてビデオをテレビの大画面で表示すようなサービスが増えれば面白いと思う。テレビの最大のアドバンテージは大画面であることなので、スマートTVというのも結局はスマートデバイスをコアにして、必要に応じてスマートデバイスからの映像を大画面で出力するというのがエフェクティブなんじゃないかと思う。

ビデオ・オン・デマンドにしても、セットトップボックスやゲーム機を使うことができるし、SNSなどのアプリは当然、スマートフォンやタブレットなどスマートデバイスで使える。スマートTVがそれらの機能を単に統合したところで革新性がない。

ちなみに現時点ではU-NEXTはAndroidのディスプレイにしか映像を表示できず、Apple TVなどの外部デバイスには出力できない。このあたりはどうにかして欲しいところだ。まあ、これは海外のサービスにしても、外部ディスプレイにはビーム出力できないものがいくつもある。このあたりは著作権保護の関係が大きいと思うが、解決する暗号化機能を持ったワイヤレス転送が確立すればスマートフォンやタブレットからテレビへの映像転送が普通にできるようになるだろう。

何にしても、デバイスのライフタイムの長いテレビを進化の速い情報機器にしたてあげるのには無理がある。下手なスマート機能を研究するより、スマートデバイスなどからのビデオ転送インターフェースを確立して、それらの表示デバイスとしてより有効に使えるようになってくれるのがユーザーとしてはうれしい気がするのだがどうだろうか？

オン・デマンド・ビデオサービス「U-NEXT」。
現時点ではコンテンツをディスプレイ表示はできるが、外部出力はできない。

さまざまなサイトのコンテンツをディスプレイ表示あるいは外部出力できる「TwonkyBeam」。

ディスプレイ出力か外部出力かを選択できるプレイヤー。

さまざまな映画情報を調べることができるサイト「IMDb」では映画のトレイラーを見ることができる。
出演者や映画タイトルなど、さまざまな情報検索もできる。

記事執筆者プロフィール

一条真人
ITジャーナリスト
Twitter：@ichijomasahjito、Facebook：masahito.ichijo、
ブログ：一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」（日本文芸社）、「PCプラスワン」（笠倉出版）などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia（あまりに美しいデザイン！）、iPhoneなど数機種使っています。

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本コラムは毎月第2・第4火曜日更新予定！