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【せう先生のスマホ講座】第1回:「無線LAN」と「Wi-Fi」って何が違うの?

GAPSISをご覧の皆さん、初めまして。「せう」です。パソコンや携帯電話が趣味なニート志望の永遠の18歳です。宜しくお願いします。

GAPSIS読者の皆さんは、用語や機能など、スマホ関連のあれこれに慣れ親しんでいると思います。が、「うろ覚え」(曖昧)、あるいは、知っているけどどう使っていいのか分からない、っていうことも結構多いと思います。

そこで、改めてスマホ関連の知識や使い方を簡単に、一部マニアックに確認していこう、という趣旨の連載が、この「せう先生のスマホ講座」です。月2回(7月のみ1回)掲載予定なので、生暖かく見守って頂けると幸いです。


《「無線LAN」と「Wi-Fi」の違い、説明できますか?》


さて、初回の今回は、「無線LAN」と「Wi-Fi」の違いを確認します。最近は、分かりやすさを重視して、「無線LAN」のことを「Wi-Fi」と言い換える風潮があり、両者が同一のものであると考えている方(あるいは企業)も少なくないですが、厳密には両者の意味するところは異なるのです。

無線LANの規格表記例


■「無線LAN」=無線で通信するLAN(読んで字のごとく)

「無線LAN」は、「無線で通信するLAN」のことです。本当に読んで「字のごとく」すぎるので、もう少し詳しく説明しましょう。

“LAN”は、“Local Area Network”(ローカルエリアネットワーク)の略で、「ローカル」とあるとおり、自宅内、あるいは職場内などで構築するコンピューターネットワークのことを指します。家、あるいは職場内にあるパソコンなどでファイル、プリンター、あるいはインターネット接続などを共有する際に使います

無線LANは、LANを無線通信で構築するものです。国際的には、“Institute of Electrical and Electronics Engineers”(略してIEEE)という学会において「IEEE 802.11シリーズ」として規格化された無線LANが主流です。というか、それ以外の無線LAN規格は有名無実な状態です。IEEE 802.11シリーズには以下の規格があります(規格策定順)

規格名 概要
IEEE 802.11 オリジナルの規格。2.4GHz帯で通信。通信速度は最大2Mbps。
IEEE 802.11b 通信速度が最大11Mbpsに。2.4GHz帯で通信。
IEEE 802.11a 5GHz帯で通信。通信速度は最大54Mbps。電子レンジやBluetooth、無線キーボード・マウスとの干渉を受けないので快適な通信を期待できる。上記2規格とは互換性なし。日本では、一部周波数帯(W56)以外では屋外利用禁止。
IEEE 802.11g 11bの上位互換規格。変調方式(通信方式)を変更し、最大54Mbpsで通信可能に。11b機器と混在していると、通信速度が落ちやすい。
IEEE 802.11n 通信に使う周波数の幅を広げたり、複数のアンテナで通信できる“MIMO”(Multiple Input Multiple Output)を採用したりすることで、通信速度を向上。機器によって使う周波数の幅やアンテナの数が違うため、最大通信速度は機器によって150Mbps~450Mbpsと、大きな幅がある。2.4GHz帯と5GHz帯両方で規格化され、前者は11bや11gと、後者は11aと互換性がある。
IEEE 802.11ac 5GHz帯の11nの周波数幅やMIMOを更に高度化したもの。電波に指向性を持たせて実効通信速度を向上する「ビームフォーミング」も可能に。11n同様、利用する周波数幅やアンテナ数によって最大通信速度に幅があり、規格上は433Mbps~6.93Gbpsまで対応できる(現在販売されている機器では433Mbps~1.3Gbps)。11aや11n(5GHz帯)と互換性がある。


最新のスマホではIEEE 802.11a/ac/b/g/nに対応している機種が主流です。ただし、スマホは筐体が小さく、たくさんアンテナを積めないので、送受信ともアンテナが1つのみ、最大通信速度は433Mbps(11ac利用時)の機種がほとんどです。サムスン電子のスマートフォン「GALAXY S5」や、一部のAndroidタブレットではアンテナを2本搭載し、最大866Mbps(11ac利用時)で通信できるようになっています


■「Wi-Fi」=相互接続認証に合格した無線LAN機器に与えられる認証

Wi-Fiは、相互接続認証合格の証

上で書いた通り、無線LANはIEEE 802.11シリーズという事実上の標準が存在するものの、特に規格黎明期には接続の相性問題が頻発していました。ルーターも、それにぶら下がるクライアントも、同じ規格であるはずなのに、いくら設定しても通信できないのです。理由は、規格に対する解釈がチップメーカー、あるいはそれを組み込む機器を作るメーカー間で異なるため、ハードウェア/ソフトウェアの設計に違いが出た、というところが大きかったように思います。

同じ規格を採用しているのに接続できない、という問題は、ユーザーからすると不親切極まりない話です。そこで、無線LAN機器を製造しているメーカーは、「Wireless Ethernet Compatibility Alliance」(現在の「Wi-Fi Alliance」)を結成し、無線LAN機器の相互接続認証を行うことにしました。これが、「Wi-Fi」の始まりです。

要は、「Wi-Fi」とは無線LAN機器の相互接続認証に合格した証なのです。このマークが付いた機器同士では、問題無く通信が行えることをWi-Fi Allianceが保証しているのです。

本来、Wi-Fiは相互接続認証に合格した機器でしか名乗れませんが、冒頭に書いてある通り、最近は無線LANの代名詞として使われてしまうケースが多いです。もっとも、「Wi-Fi」を名乗っている機器はきちんとWi-Fi認証に合格した機器がほとんどである現状を踏まえると問題ないのですが、一部、Wi-Fi認証を取得していないのに「Wi-Fi」対応をうたう無線LAN機器もあるので、注意が必要です。

富士通のフィーチャーフォン「F-07F」は、認証基準が変わって、Wi-Fiを名乗らず

なお、Wi-Fi認証の基準は、随時アップデートされているため、昔のWi-Fi認証機器が、現在の基準においてWi-Fi認証を取得できるとは限りません。その好例が、筆者のメイン携帯電話であるNTTドコモの富士通製フィーチャーフォン「F-07F」です。

この機種は、「F-01E」という、より古い機種がベースになっています。F-01Eの無線LAN機能はWi-Fiの認証を取得しています。そして、F-07Fの無線LAN機能はF-01Eと全く同じなのですが、Wi-Fi認証の基準が変わってしまったため、F-07FではWi-Fi認証を取得できませんでした。ロゴはもちろん、各ソフトウェアにおいても、F-01Eでは「Wi-Fi」と書かれていた部分が、F-07Fでは律儀に全部「無線LAN」に改められていました。さすがはドコモと富士通、と言ったところでしょうか。

F-07Fは、認証基準が変わったためにWi-Fiを「名乗れなくなった」例ですが、中には、Wi-Fi認証を取得するコストを省くために、あえて認証を取得しない機器もあります。Wi-Fiロゴはある程度の安心感を与えてくれるけど、コストに少しでも反映してしまう、ということですね……。

ということで、「無線LAN」と「Wi-Fi」の違いの説明をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? ご感想、ご質問、あるいは取り上げて欲しいことがありましたら、自分のTwitterアカウント(@shoinoue)までご連絡いただけると幸いです。これからも宜しくお願い致します!!


記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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