日本政府が中国の通信機器大手ファーウェイとZTEの製品を政府調達から排除する方針であることが明らかになり、7日、テレビ・新聞各紙を中心に広く報じられた。
近年、スマートフォン市場で絶好調だったファーウェイだが、米国が安全保障上の問題としてファーウェイ、ZTEなど中国メーカーの通信機器の政府調達を禁止したことで急ブレーキが掛かりつつある。加えて、米国は同盟国にも同様の措置を要請しており、複数の国が政府調達及び次世代移動通信システム(5G)のインフラにおいては中国メーカーの製品を採用しないことを明らかにしている。
実際には米国の要請後だけでなく、その前に表明している国もあるが、米国、オーストラリア、ニュージーランド、インドはすでに排除方針を決定している。米国による同盟国への要請は11月22日より開始されたとされており、ドイツ、イタリア、日本など複数の国でも排除される見込みと考えられてきた。
そして日本に関しては6日、政府調達からファーウェイとZTEを排除する方針が固まったと報じられた。
しかも、この動きはカナダ政府がファーウェイのCFOを務める孟晩舟(Meng Wanzhou)氏を逮捕したことでさらに加速しそうだ。
ファーウェイは今の日本ではスマートフォンメーカーとして人気を集めているが、元々は通信インフラの大手として基地局設備のシェアトップであり、日本も含めて多くの国の通信インフラを担っている。しかし、世界的に次世代通信の5Gの商用サービス開始に向けた準備が進む中、5Gのインフラからファーウェイを排除する動きが決定的となってきた。
政府調達だけでなく、例えばイギリスの通信大手BTグループも5Gのインフラからファーウェイ製品を排除する方式を発表している。しかも、BTグループの場合は3G、4Gのインフラからもファーウェイ製品を排除する。
そして日本に関しては2019年秋に携帯電話キャリア事業を開始する楽天が、中国メーカーのインフラ製品を基地局に使わないことを同社グループを率いる三木谷浩史氏がコメントしたと報じられている。
先日ソフトバンクが採用しているエリクソンの基地局設備がソフトウェア異常によって大規模な通信障害を発生させたが、そのソフトバンクは5Gではファーウェイのインフラを使う予定だったとされている。
国際情勢を受けての計画変更となると通信各社もインフラ整備においてコストのみならずスケジュールも含めて様々な面で影響を受けることになりそうだが、ここ数ヶ月の各国での動向を見る限り、中国メーカーの製品は基地局から完全に排除される流れになるのかもしれない。
今回の話の中心は政府調達品とインフラ設備だが、今後は一般市場向け製品でも同様の動きが出てくる可能性もあり、ファーウェイ、ZTEなどの中国の通信機器メーカーに関する話題はしばらく続くことになりそうだ。国内のスマートフォン市場にも大きな変化が出てくるかもしれない。
【情報元、参考リンク】
・NHK/イギリス通信大手 ファーウェイ製品除外 5G部品から
・Engadget/日本政府、ファーウェイとZTEを政府調達から排除か
・産経ニュース/中国2社排除、携帯大手は次世代基地局見直しも
・Business Journal/ソフトバンク、通信障害とダブル危機…盟友・ファーウェイを米国が世界から排除
・CNN/米、同盟国にファーウェイ製品の使用中止を要請
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