F1公式ライブ配信サービス「F1 TV」。日本など放送契約のある国では提供されず

GAPSIS編集部 2018年3月1日

2017年シーズンから米リバティ・メディアの運営に変わったF1。良くも悪くもいくつかの変更や企画が行われてきたF1だが、同社は2018年シーズンの序盤戦からインターネットを介してのライブ配信サービス「F1 TV」および「F1 TV Pro」を提供することを明らかにしている。サービスの提供は公式パートナーであるタタ・コミュニケーションズが担当する。

＜▲図：「F1 TV Pro」の画面イメージ＞

このライブ配信サービスの注目は、プレミアムプランである「F1 TV Pro」。月額8ドルから12ドルでの提供（年額プランもあり）が予定されているF1 TV Proでは、各グランプリのフリー走行、予選、決勝レースといった全セッションのライブ配信に加えてプレスカンファレンス、レース前とレース後のインタビューも配信する。

しかも、全マシンのオンボードカメラ映像を任意に選んで視聴できる機能も提供される。

現在日本でも利用可能な「DAZN」でもレース中継映像に加えてオンボードカメラ映像を同時視聴できるが、DAZNの場合は2つのチャンネルの映像を同時視聴できる、というものであって、オンボードカメラ映像のチャンネルではどのドライバーの映像か、というのはレース中に都度変わり、視聴者は選べない。スタートからフィニッシュまで一人のドライバーの映像を追っていきたい、という要望には現時点では応えられない。こればかりはF1専用サービスではないので致し方ない。

＜▲図：オンボード映像の視聴も可能＞

この自由なオンボードカメラ映像はDAZNにはない魅力だ。

とはいえ、昔日本でも提供されていたライブ配信サービス「Formula 1 on Zume」でもオンボードカメラの任意選択ができていたが（確か全マシンは選べなかったように思う）が、筆者の場合はオンボード映像はオーバーテイクやミスなど、何かあった時に目をやるくらいだったので、今のDAZNのスタイルでも十分とも思う。しかし、もちろん特定のドライバーのファンの場合にはF1 TV Proの方が魅力だと思う。

＜▲図：オンボード映像は2つ選んでの同時表示も可能＞

＜▲図：接戦となっているドライバーを選んで視聴すると面白そうだ＞

コメンタリーの言語は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語のみ。

また、F1だけでなく、F2、GP3、ポルシェ・スーパーカップも配信される。

まずはPCでの提供から開始となり、いずれAndroid、iOS、Amazon Fire向けのアプリも整備される予定。

気になるのはサービスの提供エリア。残念ながら基本的には既存の放送契約がある国では配信されない。日本も同様だ。

日本の場合は依然としてDAZNとフジテレビNEXTの二択だが、私自身は2017年シーズンよりフジテレビNEXTからDAZNに移行した。最初は右京さん、川井ちゃん、森脇さんのいないコメンタリーに不満もあったが、中盤以降は慣れてしまった。右京さん、森脇さんがいないのは寂しいし、解説/状況説明の細かさは川井ちゃんに軍配が上がるが、中野さん、オグたんも十分魅力的だし、実況アナも完璧ではないものの悪くもない。そもそもフジテレビNEXTの場合はもはや実況アナが実況をせず、川井ちゃんが実況＆解説をしている状況なので、昔のフジテレビでの実況/解説に慣れている自分としては、そのスタイルになってからはずっと不満に思っていた。一方のDAZNでは、昔のフジテレビや他のスポーツ中継と同じで、一応実況と解説が分かれているので見やすい。

後半はフジテレビNEXTとDAZNの話になってしまったが、リバティ・メディアがネット配信やデジタルコンテンツに力を入れてくれることは良いニュース。日本でF1 TV Proを視聴できる機会はまだまだ訪れないかもしれないが、このサービスにも注目したい。

なお、現時点で判明しているF1 TV Proの提供予定エリアは下記の通り。