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【一条真人的Androidライフ】第122回:スマートフォンは実用品であるべきか? 夢であるべきか?

僕はコモディティとしてのスマートフォンは、普通に人が使っていて落としたぐらいでは壊れたりしないようにして欲しいということをよく言ってきた。本物のコモディティであるとすれば、それはいつまでも「精密機器」として存在するのはまずい。人が安心して持ち歩けるようなものであるべきだ。そして、それは大げさなルックスであってはまずい。今のごく普通のスマホのような佇まいを持つべきだ。

<▲図:富士通のSIMフリースマホ「arrows M04」>

最近では耐ショックなスマホが増え、普通のスマホのルックスで耐衝撃性を持つ製品がいくつも登場している。しかし、その耐衝撃性は常に微妙に僕の希望に不足していた。1.22メートルとか1.5メートルからの落下に耐えるMILスペック(米国国防総省の調達基準)をクリアしたスマホがいくつもあるが、MILスペックの落下試験は木材(ラワン材)に対して落下させるのだ。

現在の日本の地面の多くはコンクリなので、ラワン材に対して落下させる試験をクリアしても、現実にコンクリの上に落としたら破損してしまうのではないだろうか?

そんな中、富士通が1.5メートルの高さからコンクリに落下させる独自試験をクリアしたスマホをいくつも発売してきた。これなら、多くの場合大丈夫なレベルなのではないだろうか?

富士通の現在のスマホの主力機種である「arrows M04」「arrows Be F-05J」「arrows NX F-01J」などは皆このレベルの耐ショック性能を持っているのだ。そして、防水性能も持っているので、日常用途ではかなりストレスなく使える。ハードウェアのレベルでは、僕が日常品としてこうあるべきだという姿に近づいてきている。

さて、現実のマーケットでこれらのスマホが売れているか? ということに目を向けると、「価格.com」で見た限りではあまりヒットしていないのが現状だ。

人々は、スマホの実用的な理想としてはベターなものよりも、見かけとか実用性能を超えたパフォーマンスやカメラ機能を選択していることになる。

自動車の世界でも、耐久性があってシュアなドイツのクルマと比べてペラペラなイタリアの自動車も大差なく売れていたりする。

人々は常に「実用性」などというものよりも夢を求めてしまうのかもしれない。それはもしかしたら、人々の生活の中に夢がないからかもしれない。

<▲図:抜群のタフさを持つarrows M04>


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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