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【一条真人的Androidライフ】第45回:通信キャリアの新製品発表会は誰にとって必要ないのか?

ゴールデンウィークも終わって、スマートフォンのファンならお待ちかねの通信キャリア(NTTドコモやKDDIなど)による夏の新製品発表会の季節がやってきたわけだが、そんな中、ソフトバンクが、スマートフォンなどの携帯電話端末について、しばらくの間は新製品発表会を開催しないという方針を示した。

au 2014夏モデルの新商品発表会にて。田中プロは独特な話ぶりが特徴。

ソフトバンクの代表取締役社長、孫正義氏によれば、iPhoneの発表会はAppleがやるし、Android端末もメーカー個々が発表会をやればいいから、ソフトバンクがやる必要はないんじゃない?、というようなことが理由らしい。

ソフトバンクがそのような方針を示した中でも、au(KDDI)は8日、通常通り新製品発表会を開催した。

KDDIの田中プロ(同社代表取締役社長の田中氏は一部のメディア関係者に「田中プロ」の愛称で呼ばれている)は、人が集まる限り我々は発表会をやっていきたい、というような話をしていた。ソフトバンクの動向とは関係なく、従来通り継続するようだ。とはいえ、確かに色々と日本のスマートフォン業界の空気が変わって来たのも事実ではある。

auにしても、今回発表された機種はあまり多くはない。スマートフォンが6機種、タブレットが2機種だ。それらの中でもソニーモバイルコミュニケーションズ、シャープなどは日本の大手メーカーであり、自主的に発表会なりプロモーションを行うことができるし、サムスン電子などグローバル市場でスマートフォンを展開している大手メーカーも同様だ。サムスン電子は海外のイベントなどで発表したグローバルモデルをほぼそのままの仕様で日本に持ってくるので、通信キャリアの発表会の前の時点ですでに人々に情報が行き渡っているし、プロモーション力もある。

通信キャリアの発表会ではラインナップをまとめて試せるのが魅力の一つ。

やはり、通信キャリアが新製品発表会をやってくれた方がありがたいのは、あまり注目度の高くない製品を発売しているようなメーカーだろう。自分たちで発表会をやってもあまり多くの人を集められないとすれば、多くの人が集まる通信キャリア主催の新製品発表会は重要だろう。

また、プレスにしても、タッチ&トライはありがたい場だ。新製品発表会では通常、ステージ上でのプレゼンテーションの後に展示会場で新製品のタッチ&トライができる時間が設けられている。我々プレスはその場で新製品をいち早くチェックできるわけだ。この場があることで、いちいちメーカーから機材を借りなくても、短時間とはいえまとめてインプレッションを取れるのがありがたい。

通信キャリアにとっては、通信サービスや関連サービスの発表会だけをやっていれば十分で、新端末の発表はメーカーと製品名だけを言っておけばいいという方が合理的なのかもしれないが、メディア、そして端末メーカーとしては、やはり通信キャリア主催の発表会があった方がありがたい面があると思う。

とはいえ、もしソフトバンクがiPhoneさえ売れればいいと考えているのであれば、新製品発表会なんか無駄なんでしょう。また、国内の大手3キャリアの発表会では、元々ソフトバンクが一番来場者が少なかったように見えたので、それも今回の決断に影響しているのかもしれませんね。

ちなみにNTTドコモは14日に通常通り新製品発表会を開催する。

通信キャリアの発表会には毎回芸能人がゲストとして呼ばれる。
今回のau発表会には所ジョージさんが招かれた。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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