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【取材レポート】スマホでネット経由で録画視聴できる「DLPA」がやってくる!

若者のテレビ離れが進行しているとも言われる最近、僕も若者(※編集部注:?)なのであまりテレビは見ないのだが、正確に言うと「リアルタイムには、あまりテレビを見ない」という感じだ。どういうことかというと、僕は通常、テレビをリアルタイムにはあまり見ない。テレビのタイムスケジュールなどに付き合っていたら、時間の効率が悪くてしかたがない。レコーダーで録画して、「タイムシフト」して、時短視聴すると効率がいいというわけだ。知る人ぞ知る、知らない人は誰も知らないことだが、AllAboutのAVガイドでもある僕はビデオレコーダーも大好きなのだ。

リモートアクセスでスマート視聴の紹介パネル。

さて、6月10日、そんなテレビの録画視聴環境をさらに改善しそうな技術の発表会が「一般社団法人デジタルライフ推進協会」(DLPA)によって行われた。この組織を構成する主なメンバーはアイ・オー・データ機器、バッファロー、そしてデジオンなどだ。

最初に今回の発表会の目玉となる技術を簡単に紹介したい。今回の技術に対応した製品を利用すれば、自宅で録画したテレビ番組のコンテンツを外出先のスマートフォンやPCからインターネット回線を介して視聴することができるようになる。実際に携帯電話回線でもストレスなく実用レベルでの視聴が可能となる。

さて、発表会の内容だが、まずはDLPA代表理事でアイ・オー・データ機器の代表取締役社長の細野昭雄氏がDLNAの活動についての紹介から話をはじめた。

DLPAの活動について紹介する細野氏。


DLPAのこれまでの活動として「外付けハードディスク録画データ救済」、そして「AV用途のNAS普及のためのDLPA NASガイドラインの策定とロゴマークの運用」などが紹介された。

これまでの主な活動について


■外付けハードディスク録画データ救済とは?

現在の日本のテレビ放送はデジタル化に伴い、著作権保護が付加されることになり、録画コンテンツを自由にコピーすることができなくなっている。この著作権保護で特に問題なのはハードディスクなどへの録画だ。ブルーレイやDVDなどの光学メディアにダビングしたものが、どのプレイヤーでも再生できるのに対して、ハードディスクに録画したものは、録画に使ったレコーダーやテレビ、チューナーなどでしか再生できないという1対1の関係がある。

そのため、録画に使ったレコーダーやテレビ、チューナーなどが壊れると、ハードディスクの録画は再生できないという弱点がある。

アイ・オー・データ機器とバッファローの「録画データ救済サービス」は、同社らのチューナーが故障して修理した場合でも、ハードディスクの録画データをそのまま再生できるというサービスだ。

録画データ救済サービスについて


■「DLPA NAS」

現在、多くのNAS(ネットワーク対応ハードディスク)が存在し、メディア再生関連にも様々な機能があるが、ビギナーにはその違いがわかりにくい。そんな、“NASがどのようなAV関連機能に対応しているのか?”をわかりやすくしたいというのが「DLPA NAS」ロゴだ。搭載する機能に応じて、1~3段階のレベルに分けて認定し、ロゴをつけ、ユーザーにその機能の違いを認識しやすくするシステムだ。ちなみにレベル1、レベル2では著作権保護コンテンツの配信に対応、レベル3では著作権保護コンテンツの移動に対応する。

「DLPA NAS」ガイドラインとロゴマークについて


■「リモートアクセスガイドライン」とは?

そんなDLPAが2013年1月に「リモートアクセス」ガイドラインを策定したという。これが今回の発表会のポイントだ。ここで言う「リモートアクセス」というのはインターネット経由で著作権保護された録画データを再生できるというものだ。つまり、このNAS、サーバーに保存されている録画データをPlayerを使ってインターネット経由で再生できるというわけだ。

リモートアクセスガイドラインについて

これには3種類のロゴがあり、NAS、Server、Playerの3種類の製品に与えられる。現時点ではこれらのロゴを取得しているのは、NASはアイ・オー・データ機器とバッファローの製品、サーバーは富士通、Playerは富士通の3製品に与えられている。富士通のスマートフォンはNTTドコモの「ARROWS NX F-06E」「Disney Mobile on docomo F-07E」、ソフトバンクモバイル向けの「ARROWS A 202F」が対応している。

ロゴの取得製品について

ちなみにPlayerはデジオンが開発しているもので、当面、富士通の上記3つのスマートフォンが対応していて、プレイヤーアプリがプリインストールされているが、今後、一般向けアプリとしても販売され、多くのスマートフォンで使えるようになる予定のようだ。


■多くのユーザーはリモート視聴に興味がある?

アンケートによれば、多くの人がリモート視聴に興味があるということで、今後、リモート視聴が録画コンテンツの楽しみ方を変えるかもしれない。

細野氏は録画視聴によってリアルタイム視聴から開放された「タイムシフト」に加えて、どこでも視聴できるリモート視聴「プレースシフト」によって、今年が記念すべき「スマート視聴元年」となると締めくくった。

アンケート調査結果

タイムシフトとプレイスシフトの環境が整い、スマート視聴元年へ


細野氏の話はこのような形で終了し、その後、元ソニーでロケーションフリーTVなどの開発をしていたというエムジェイアイの代表取締役の前田悟氏が、タイムシフト、プレースシフトの楽しさなどを紹介し、富士通のユビキタスビジネス戦略本部 統括部長の林田健氏が自社の製品などの話をした。続いて、デジオンによる実際の製品によるデモが行われ、金沢や福岡などの遠隔地にあるサーバー上の録画コンテンツをARROWS NXでリモート再生してみせた。

遠隔地にあるサーバ上の録画コンテンツをLTEなどのモバイルデータ通信を介して、スマートフォンから手軽に視聴できることは確かに便利だ。

左:エムジェイアイの前田氏、右:富士通の林田氏


リモートアクセス機能をサポートした富士通のFMV、そしてARROWS


左:デジオンの製品企画部部長 三坂英一氏。右:このような機器構成でデモが行われた。


また、イベント後には展示ブースで、アイ・オー・データ機器やバッファローなどの製品でそのリモートアクセスを体験できた。


■バッファローの製品

今回の発表会場にはバッファローの対応製品も展示され、実際にリモートアクセスを体験することができた。しかし、バッファローのDLPAリモートアクセス対応NASはまだ発売されていない。発売時期は今夏の予定で、現時点では製品ラインナップ、価格ともに未発表となっている。

しかし、今回の展示ブースでは新製品のデモ機が展示されていたので、製品外観、外部接続端子などは確認できた。バッファローのこの新製品は「LinkStation LS410DX」シリーズで、ストレージ容量別に数モデルが登場する予定だ。

トランスコーダーを搭載し、DTCP+に対応したNASで、「nasne」などのレコーダーを繋げ、録画コンテンツをこのLS410DXシリーズに保存しておけば、インターネット回線経由でスマートフォンやPCからアクセスし、視聴することができる。

ちなみにトランスコーダーとはインターネット回線経由でも映像が途切れず、快適に視聴できるように圧縮してくれる機能で、DLPAリモートアクセス視聴には必須となる。新製品はこのトランスコーダーを搭載している点が従来品との大きな違いだ。

バッファローのブースにはnasneや同社製Wi-Fiルーターも展示されていた。


LS410DXシリーズの実機。iPhone 5を並べているのでサイズ感がある程度掴めると思う。
右写真はLS410DXシリーズの背面。 


ARROWS NXでリモート視聴のデモを行っているところ。DiXiMのプレイヤーアプリを使って視聴する。 

テレビ画像にはモザイクを入れているが、LTEで何の問題もなくスムースに再生できる。

■アイ・オー・データ機器の製品

アイ・オー・データ機器からもバッファローと同様にトランスコーダーを搭載し、DTCP+に対応したNASが発表されており、発表会場で展示されていた。実はアイ・オー・データ機器の製品の方がバッファローの製品よりも早く市場に登場する。

その新製品は「RECBOX(レックボックス)HVL-ATシリーズ」で、ストレージ容量が2TB、3TB、4TBのモデルが6月下旬に発売される。そのため、できるだけ早くリモート視聴環境を整えたい場合にはバッファロー製品が登場するまでは、HVL-ATシリーズが唯一の選択肢となる。

また、アイ・オー・データ機器は旧モデルである「HVL-A」シリーズでリモート視聴ができるようにするオプション機器「USBトランスコーダー」も発売する。こちらは標準価格が9,500円で、6月中旬に発売されるので、既存のHVL-Aシリーズのユーザーであれば、少ない出費で環境を構築できる。このUSBトランスコーダーはHVL-AシリーズのUSB端子に接続して使う。

アイ・オー・データ機器の展示パネル。 


左:新製品のHVL-ATシリーズとARROWS NX。右:HVL-AシリーズにUSBトランスコーダーを接続したところ。


USBトランスコーダー

パソコンでの視聴には「DiXiM Digital TV 2013 for I-O DATA」ソフトを使う。


■リモートアクセスはユーザーの録画視聴スタイルを変える?

リモートアクセスはようやく今後対応製品が登場するということで、まだ始まったばかり。使い勝手などをはじめ、今後の課題は多いと思うが、機会があれば商品をお借りして紹介できればと思う。

今回、録画視聴に対して新しい可能性が示され、スマートフォンの新しい使い方が提案されたわけだが、フルHDディスプレイ搭載が普通となり、フルセグ搭載モデルも登場するなど、今後、スマートフォンによるビデオ視聴環境はまだまだドラスティックな進化を続けていく可能性があることを感じさせてくれた。

(記事:一条真人


下は6月下旬発売予定のアイ・オー・データ機器のDTCP+対応のNASなどのAmazon.co.jpでの商品リンク。左から「RECBOX HVL-ATシリーズ」の2TB、3TB、4TBの製品。その下はUSB接続のトランスコーダー「GV-TRC/USB」。このUSBトランスコーダーを利用すれば、HVL-AシリーズでもHVL-ATシリーズと同じように録画データを画質変換・容量圧縮することができるようになる。

 



【情報元、参考リンク】
DLPA公式サイト
・アイ・オー・データ機器/DLPA対応NAS製品USBトランスコーダー
バッファロー/DLPA対応NAS製品について
富士通/ARROWS NX製品紹介ページ

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