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AppComingセミナーレポート 3:「Xi 100Mbpsフィールドテストレポート」~気になるXiの速度を全国各地でテスト~

Xi 100Mbpsエリアを訪問する旅
AppComing読者キャンペーン2013 Spring」におけるセミナーレポートの第3回目では、AppComing電測チームの大阪の人(@itiyuki)による「Xi 100Mbpsフィールドテストレポート」の模様をお届けします。

このフィールドテストは、NTTドコモ(以下、ドコモ)が昨年11月16日にサービス提供を開始したXiにおける下り最大100Mbpsの電波を求めて四国、沖縄、東北などへ旅し、実際の速度を測ってみよう、というAppComingの企画です。セミナーではその概要を電測チームの一人である大阪の人が発表しています。

Xiは今や下り最大100Mbpsエリアでは対応端末を利用すれば下り最大112.5Mbpsで利用できる高速通信サービスですが、首都圏ではユーザー数の急激な増加もあって、高速通信の体験はなかなか難しくなってきています。以前は10~20Mbpsの速度が出たXiが今では数Mbps出れば良い方、という状況に東京在住の方はなりつつあると思います。

もちろん都市部においても将来的には改善されるはずですが、全国に目を向ければすでに一部の地域で下り最大100Mbpsを利用できるわけです。首都圏在住の方には羨ましい限りの環境ですが、実態は意外と見えにくいものです。

今回のフィールドテストでは、一般ユーザーにとって中々知ることのできない、Xiの最高速度を知ることができます。

下り最大100Mbpsのエリアにおいて、本当に超高速通信はできるのでしょうか?

以下、セミナー概要をチェックしてみて下さい。

セミナー模様


≪Xi 100Mbpsフィールドテストレポートについて≫

「Xi 100Mbpsフィールドテストレポート」はAppComingで公開後、ITmedia、Yahoo! ニュースでも掲載され、大きな注目を集めた企画記事となっています。

Xiは2010年12月に下り最大37.5Mbps、一部の屋内で下り最大75Mbpsでサービスがスタートしましたが、その後、一部の屋外でも下り最大75Mbpsにアップグレードし、昨年11月16日には下り最大100Mbpsのサービスが提供開始となりました。Xiのスタート時は2.1GHz帯の周波数を利用してサービス提供されていましたが、昨年11月16日より1.5GHz帯による下り最大100Mbps、そして800MHz帯が加わり、現在は3つの周波数帯(いわゆる「トライバンド」)でサービスが提供されています。

とはいえ、現在は東名阪、首都圏では下り最大100Mbpsは利用できない状況にあります。

昨年11月16日のスタート時に対応したエリアは新潟県の新潟市、石川県の金沢市、愛媛県の松山市、松前町、香川県の高松市、綾川町、高知県の高知市、徳島県の徳島市、藍住町、沖縄県の那覇市の10都市に留まります。しかし、今春には札幌、仙台、広島を含む全国50都市以上に拡大予定で、すでに札幌や広島などではエリア化されています。そして、2014年春には東名阪を含む全国主要都市にも拡大します。

この企画では、具体的には高知県、愛媛県、香川県、徳島県、沖縄県、新潟県、富山県、石川県、福井県、宮城県へ訪れ、Xiの実測が行われました。

2012年11月16日時点でのXi 100Mbps対応エリア

2013年1月19日時点での100Mbps対応エリア


≪測定について≫

測定に使用した端末は「GALAXY Note II」(SC-02E)です。GALAXY Note IIは2.1GHz帯と1.5GHz帯をサポートしています。Xiの800MHz帯には非対応ですが、今回は下り最大100Mbpsのテストが目的なので、1.5GHz帯に対応していれば問題ありません。実際には「Xperia AX」(SO-01E)、「AQUOS PHONE ZETA」(SH-02E)も使いましたが、メインはGALAXY Note IIです。これは、2.1GHz帯の固定が可能な上、ServiceMode(サービスモード)でRSRP(Reference Signal Received Power=基準信号受信電力)・ RSRQ(Reference Signal Received Quality=基準信号受信品質)・SNR(Signal-Noise Ratio=信号雑音比)などの確認もできるからです。

基地局が複数の周波数帯に対応している場合、1.5GHz帯ではなく他の周波数帯を掴んでしまうと下り最大100Mbpsのテストにはなりません。その点、GALAXY Note IIではバンド固定ができるので、今回のテストに適しています。

測定時に利用したインターネット接続サービス(ISP)は「spモード」です。

GALAXY Note IIのServiceMode

実際の測定ではAppComing電測チームのほか、ドコモの広報の方とネットワーク・エンジニアの方が立ち会っています。ドコモの協力を得ているので、ドコモの電波の入りが良い場所で測定できています。ただ、今回、同時にKDDI(au)、ソフトバンクモバイル、イー・モバイルの測定もしていますが、4社の比較企画にはなりません。最初からドコモの電波が良い場所での測定ですので、比較としてはアンフェアな環境でしょう。そのため、他社の結果については参考程度に留めて下さい。本企画の主旨はあくまでも下り最大100Mbpsエリアにおいて、実際にどれくらいの速度が出るのかを調べることにあります。


≪愛媛県松山市での電測≫

愛媛県松山市内で測定した結果です。この測定場所では2.1GHz帯と1.5GHz帯を両方掴むことができました。基地局アンテナは下図左上のマンション屋上ですが、この写真は測定場所から300mくらい離れています。測定場所周辺は住宅街で、測定時間は日中ですのであまり混雑していなかったと思います。

愛媛県松山市での電測について

結果は測定アプリ「Seedtest.net」では「Tokyo」サーバに対して下り91.79Mbps、上り18.70Mbps、「RBB Today」では下り86.1Mbps、上り18.91Mbpsでした。

参考までにau 4G LTE(HTC J butterflyで計測)は最速で下りが19.27Mbps、上りが17.06Mbps、ソフトバンクモバイルの「SoftBank 4G」は「RAZR M 201M」で下り最速48.54Mbps、上り最速8.4Mbps、EMOBILE LTEは「GL04P」と「Optimus G」の組み合わせで計測したとき下り最速11.56Mbps、上り最速12.79Mbpsでした。

ちなみにXiの2.1GHz帯(5MHz幅)については下り最速で23.93Mbps、上り最速で5.95Mbpsでした。この測定場所では2.1GHzは下り最大37.5Mbpsですので、実測はかなり出ていることになります。

愛媛県松山市での電測結果


≪番外編 Xi 800MHz(B19)の電測≫

番外編として800MHz帯(バンド19)の実測もしています。800MHz帯はいわゆる「プラチナバンド」と呼ばれる周波数帯で、障害物などを回り込みやすく、都心部ではビル陰、地方では山間部などでも電波を掴みやすい特徴があります。現在、Xiでは2.1GHz、1.5GHz、800MHz帯でサービスが提供されていますが、実は800MHz帯だけの実測は非常に難しい状況にあります。

というのも、現状市場にリリースされている端末では800MHz帯だけに固定しての実測ができないので、800MHz帯の測定は800MHz帯だけしか提供されていないエリアに行って行う必要があります。それ以外の場所では他の周波数帯を掴んでしまう可能性があるからです。

そこで、福井県今立郡池田町千代谷地区に行きました。ここでは現在、Xiでは800MHz帯のみが提供されています。

福井県今立郡池田町千代谷地区

福井県今立郡池田町千代谷地区を字図で確認

下図は左写真が左からGALAXY Note IIとAQUOS PHONE ZETAです。GALAXY Note IIは2.1GHz帯に固定しているので圏外です。AQUOS PHONE ZETAでは800MHz帯を掴んでLTE表示がされています。右写真ではHTC J butterflyとRAZR MがLTEのほか、3Gも圏外であることがわかります。

基本的にXi 800MHz帯以外は圏外

AQUOS PHONE ZETAで測った速度は「RBB Today」で下り33.34Mbps、上り6.40Mbps、「Speedtest.net」で下り30.95Mbps、上り5.61Mbpsです。測定場所周辺には民家はあるものの、人が全然見当たらなかったので、おそらく全く混雑しておらず、測定時は他にXiに接続していたユーザーが居なかったのではないかと思います。下り最大37.5Mbpsエリアながら、ほぼマックスの速度が出ていることになります。

Xi 800MHz帯の電測結果

近くにソフトバンクモバイルの衛星回線基地局もあるということで、試しにそちらも測定してみました。

下り1.37Mbpsや1.52Mbps出ていますが注目してほしいのはPingの値が1秒以上かかっていることです。高高度にある衛星に繋げていますので、これだけの時間が掛かることが確認できます。また、この基地局から200、300m位離れると繋がらなくなってしまいました。

ソフトバンクモバイルの衛星回線基地局の電測

ただ、この場所は足羽川ダムの建設予定地のため、ダムができると水没してしまいます。そのため、800MHz帯のテストをしたい方は早めに行く必要があります。

このエリアは足羽川ダムの建設予定地

本セッションではここまででしたが、フィールドテストは他の街でも行われており、詳細レポートはかなりの量になります。詳細を知りたい方は下記リンク先のAppComingの記事にてご確認下さい。



次回のレポートもお楽しみに。


第1回第2回/第3回/第4回第5回
(第4回目以降は公開時にリンクを随時追加)


【情報元、参考リンク】
AppComing読者キャンペーン2013 Spring公式告知ページ

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