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【CES取材レポート】Tegra 4、ゲーム機Project SHIELD、クラウドゲームプラットフォームGRIDに注目のNVIDIA

グラフィックチップのトップメーカーである米NVIDIAにも、ついにクラウドの波が押し寄せてきたようだ。今回のCES(2013 International CES)でNVIDIAはなんとクラウドをベースとしたゲームプラットフォームを披露してみせた。スマートデバイス向けのCPUである「Tegra 3」を進化させた「Tegra 4」も発表されたが、それよりもクラウドシステム「GRID」や「Project SHIELD」の発表のほうがインパクトが大きい。

NVIDIAブース

■Tegra 4

コードネーム「Wayne」として知られる「Tegra 4」は現在、世界最速のモバイルプロセッサーになる。72コアのGPUとCortex-A15のクアッドコアCPUから構成され、通信プロセッサとの連携でLTE通信も可能になる。その処理速度は現在最速レベルのタブレットである「Nexus 10」の約2倍、「Kindle Fire HD」の約3.5倍速いという脅威的なものだ。そして、このTegra 4に最適化されたゲームとして「Real Boxing」、「Dead Trigger2」などがある。

しかし、このTegra 4の高速な処理はゲームだけにターゲットしたものではない。実は写真の処理も高速化されており、HDR(High Dynamic Range)処理に優れている。これは複数の画像からではなく、1枚の高解像度画像の明暗からの演算による細部の描写の強化による。この処理がリアルタイムなHDRプレビューを可能にし、フラッシュを使ったHDR画像撮影、タイムラグなしのHDR撮影、HDRビデオ撮影さえ可能にする。

そして、省電力的にも進化している。例によってTegra 4はTegra 3と同じく4コア+1コア構成で、「+1コア」のコアは処理が軽いときに駆動する省電力駆動コアとなっている。この省電力のための1コアの消費電力がTegra 3よりも最大45%省電力となっている。

Tegra 4の構成。

WebブラウジングはTegra 3の最大3.5倍速いTegra 4。

Tegra 4の1フレームHDRは通常のデジカメのマルチフレームHDRの10倍速いと主張。


■GRID

NVIDIAの発表したゲームプラットフォームの「NVIDIA GRID」はクラウドゲームシステムだ。サーバー側でゲームの処理を行い、ディスプレイ表示と操作を手元のデバイスで行う。クラウドで処理するため、クライアントのデバイスにおける3Dパフォーマンスに極端に依存することはない。そのため、プレイできるプラットフォームは強力なデスクトップPCからスマートTV、タブレット、スマートフォンにまで渡る。

この場合、気になるのはクラウド処理で、実際にどの程度のレスポンスでゲームがプレイできるのか? だ。NVIDIAによればコンソールゲーム機並のレスポンスを実現しているとのことだが、実際にノートPCで「ストリートファイター」と「Need for Speed Most Wanted」をプレイしたところ、そのレスポンスは特に問題を感じなかった。ちなみに、来場者の腕を考慮してか、プレイモードはイージーに設定してあった。さすがNVIDIAである。

問題はゲームがGRIDに乗るか? だが、すでに数100社以上のゲームデベロッパーと共同開発が進められており、メジャーなゲームタイトルが揃うようだ。

ストリートファイターも快適に遊べる。しかも、当然、楽勝だ(EASY MODEなので)。

USBゲームコントローラを接続し、ゲーム機のようにプレイできるGRID。
この機種はMacBook Proだが、Windowsやスマートフォンでもプレイ可能だ。


■Prioject  SHIELD

Project SHIELDはポータブルゲーム機だ。そのポータブルゲーム機が搭載するプロセッサは、当然Tegra 4となる。ゲーム機並みのサイズのゲームコントローラにノートPCのような折りたたみ型5インチHD解像度のディスプレイが搭載されている。そして、コントローラ前部にはステレオスピーカーが配置され、内蔵の無線LAN機能は高速な802.11nの2×2 MIMOだ。OSはAndroidの最新版4.1(Jelly Bean)を搭載し、Androidゲームをプレイできるだけでなく、Androidアプリも動作する(Google Playに対応)。

しかし、Project SHIELDのポイントはAndroidゲームだけではない。GeForce GTX(デスクトップで650以上、ノートで660M以上)を搭載したPCとWi-Fi接続することで、ストリーミングでPC上の対応ゲームタイトル(「STEAM」タイトルを含む)をプレイできることだ。PC側の対応OSはWindows 7以上となる。

ちなみに、GeForce GTX 650搭載のビデオカードというのは特にハイエンドではなく、ミドルレンジのカードで現時点で1万円代前半程度で入手できる。現時点では2万円程度のGTX 660のほうが人気になっているぐらい、650はハイエンドカードではないので、一般ユーザーにも買いやすいものだろう。


ゲームコントローラ、液晶ディスプレイを搭載したSHIELD。
アナログスティックも搭載しているのが本格的ゲーム機を感じさせる。


■クラウドゲーミングが本格化の予感

今回のCESでのNVIDIAの発表は、本格的なクラウドゲーミングの時代が始まったことを示している。流行に乗ってクラウドゲームに移行というよりは、現時点ではデスクトップPCがもはやレガシー的な存在となり、一部の熱心なゲーマー以外に従来のドル箱とも言えるハイエンドビデオカードが売れないとなれば、ビジネス的にもクラウドをターゲットにせざるを得ないのだろう。DELLのエイリアンのようなゲーミングノートPCにしてもサイズが大きいためメジャー化には壁があり、パイの拡大は見込みにくいのだから、そのセレクトは当然だろう。当然、スマートデバイスの急速なメジャー化という問題もある。

CESのNVIDIAブースでプレイした限り、一般レベルのプレイヤーであればごく普通にプレイできるクラウドプラットフォーム「GRID」は、クラウドゲームプレイが実用レベルにあることを教えてくれた。これは今後のゲームを大きく変えていくことだろう。

スマートデバイスでクラウドプレイ可能なGRIDがあるなら、なぜProject SHIELDが必要? と思う人もいるかもしれないが、すでにSTEAMやPCで大量のゲームを買っているようなユーザーにとっては、それがポータブルでプレイできるPriject SHIELDはメリットの大きいものとなるだろう。

(記事:一条真人

【情報元、参考リンク】
NVIDIA
GAPSIS/NVIDIAがTegra 4搭載携帯ゲーム機「Project SHIELD」を発表。AndroidとPCゲームを両方楽しめる。PCゲームはストリーミング・プレイ
GAPSIS/NVIDIAがTegra 4を発表。72個のGPUコア、クアッドコアCortex-A15 CPUを搭載し、高性能・省電力を実現

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