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【島田純のMobile×Travel】第98回:札幌でサービス提供開始となった中国発のシェアサイクル「Mobike」を試す

モバイク・ジャパンは、8月22日(火)に札幌市にてシェアサイクル「Mobike」のローンチイベントを開催し、翌23日(水)より札幌市内にて日本でのサービスを提供開始しました。

<▲図:札幌市内にて提供開始された「Mobike」>

日本国内で「Mobike」を使うためには、「Mobike」アプリに対応するスマートフォンのほかに、料金支払に必要となるクレジットカードが必要となります。「Mobike」アプリをダウンロードして電話番号による認証を行い、クレジットカード情報を登録すれば、すぐに「Mobike」が利用可能になります。

「Mobike」を使い始めるまでの手順は、既に札幌市内で提供されているシェアサイクルの「ポロクル」や、東京都内を中心として展開している「ちよくる」をはじめとする、ドコモ・バイクシェア系のサービスと比べると非常に簡単です。Eメールの送受信などを必要とせず、SMSによる認証コード受信とアプリで初期設定が完結する「Mobike」は、スマートフォン時代にあわせたサービスと言えます。

逆に言えば、「ポロクル」や「ちよくる」などのサービスは、スマートフォンやおサイフケータイ対応機種を持っていなくてもサービスが利用可能です。このあたりはサービスが提供開始されたタイミングの違いや、ターゲットとしているユーザ層が異なるゆえと言えるでしょう。

<▲表:「Mobike」と「ポロクル」を比較(※クリックして拡大)>

<▲図:「ポロクル」は2011年より本格提供開始されている>

「Mobike」の利用料金は、プロモーション期間中(終了期間未定)は30分毎に50円です。ただし、デポジットとして3,000円(税込)の支払が必要となります。このデポジットに関しては、「Mobike」のサービスを利用中断・終了する手続をとればすぐに返金されます。プロモーション期間終了後の料金は現時点では未定です。


■「Mobike」の使い方

「Mobike」などのシェアサイクルサービスは、中国では「好きな場所に乗り捨てできる」点が利用者としてはメリットと言える一方で、迷惑駐輪を引き起こす原因ともなり、最近では多くの都市で指定の駐輪場が準備されるなど、「どこでも乗り捨てok」の方針から「駐輪場へ返却」の方針に転換されてきています。

札幌市内にてスタートした「Mobike」は、北海道を拠点とするコンビニエンスストアチェーンである「セイコーマート」や、同じく札幌市を拠点とする「サッポロドラッグストアー(サツドラ)」などに駐輪スペースが用意されており、原則としてはこれらの駐輪スペースへの返却が必要とされています。

<▲図:「Mobike」の駐輪スペース>

しかしながら、専用のポートでないとそもそも返却手続を行えない「ポロクル」や「ちよくる」などのサービスと異なり、「Mobike」の返却は指定の駐輪エリア以外でも返却手続ができてしまうため、ある意味では「ポート外への好きな場所に乗り捨てることは(サービス仕様的に)黙認されている」とも言えるでしょう。

実際に、札幌市内にてサービスが提供開始された8月23日に「Mobike」の動きを見ていると、それが確認できました。というのも、本来はポートが設置されていない札幌駅〜すすきの駅エリアなどの中心部で、「ポート外への乗り捨て」されている「Mobike」を見つけることができたからです。

<▲図:すすきの交差点付近に乗り捨てされた「Mobike」>

サービス仕様上は「ポート外への乗り捨て」ができるようになっている「Mobike」ですが、そういった「Mobike」では、最寄りのポートへの移動を促すメッセージが表示されます。実際に最寄りのポートへ移動すると、サービスにおけるユーザ毎の信用度を示す「Mobikeクレジット」が付与されます。

また、駐輪禁止エリアなどに駐輪されている「Mobike」は、他のユーザが「駐輪禁止エリアに駐輪されている」と報告した場合、駐輪禁止エリアに駐輪したユーザに対して大幅なクレジットの減少ペナルティが課せられるなど、サービスを利用するユーザ同士で、ある程度の自浄作用が働くような仕組みが用意されています。

また、市区町村などによる自転車撤去の対象となった場合は、撤去に伴って発生した費用が行政からモバイク・ジャパン社に対して請求されますが、その費用は丸ごとユーザに対して請求されるとのことですので、駐輪禁止エリアでの駐輪は行わないようにしましょう。

モバイク・ジャパンは、2017年内に日本国内10都市でのサービス展開を目指すとしており、計画通りに進めば、日本各地の都市で次々に「Mobike」がスタートします。

これまで日本国内ではシェアサイクルによる迷惑駐輪がそれほど大きな問題となってこなかった背景には、そもそも「駐輪場以外では返却できない」サービスが大半であったことが理由と言えます。「Mobike」など、ある意味では「ユーザーのモラルに委ねる」サービスが、日本国内で秩序を保って利用されるのか、今後の展開を見守りたいと思います。

【参考リンク】
Mobikeアプリ(Android向け)
Mobikeアプリ(iOS向け)


記事執筆者プロフィール
島田純
ブロガー/フリーライター
Twitter:@shimajiro、ブログ:shimajiro@mobiler

ブログとモバイルと旅が好きなフリーランスのブロガー/ライター。
モバイルWi-Fiルータやデータ通信関連が得意です。

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