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【レビュー】Xiaomi Buds 3T Pro。癖のないクリアな音質で通話や動画にオススメ!自然なノイキャンや音声増幅モード、LHDC対応等も魅力

Xiaomi Japan(シャオミ)が日本市場で3月18日に発売した完全ワイヤレスイヤホンのフラッグシップモデル「Xiaomi Buds 3T Pro」。完全ワイヤレスイヤホンとしてはシャオミの最上位グレードの製品で、クリアな高音質、最大40dBのノイズキャンセリング機能等の他、ハイレゾワイヤレスへの対応として「LHDC 4.0」コーデックをサポートする点などを特徴とします。

「Xiaomi Buds 3T Pro」のパッケージと本体
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」のパッケージと本体>

本記事では、そのXiaomi Buds 3T Proのレビューをお届けします。

最初に結論を簡単に言うと、Xiaomi Buds 3T Proは癖の少ないクリアな音質で、全体的に万人向けに設計されたオーソドックスな、かなり良いイヤホンだと思います。特に通話と動画視聴に関してはとてもオススメです!

音は電話の通話、動画・ゲーム、音楽で分けて述べる必要があります。通話時の音は非常にクリアです。他社品と比べる必要がないほど優れていると思います。動画やゲームも、音場が自然で広く、こもりが少なく、クリアで迫力も適度で非常に聞きやすいです。オープンタイプ(開放型)のヘッドホンに近い印象です。お世辞抜きで、通話と動画に関しては非常に優れていると思いますし、とにかく音場、音質が自然です。一方、音楽鑑賞は別で、高音域に少し不足を感じます。音に限るとXiaomi Buds 3T Proは通話・動画・ゲームでの使用頻度が高いユーザー向けだと感じます。とはいえ、音楽鑑賞に関しても音場の自然は同様で、聞き疲れしにくい癖の無い音であることも確かです。フラット気味の音を好む方には良いと思います。音質の詳細は後述します。

「Xiaomi Buds 3T Pro」のイヤホン本体と充電ケース
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」のイヤホン本体と充電ケース>

ノイズキャンセリング機能は違和感や不快感が少なく、ノイズカット性能も十分です。外部音取り込みモードも搭載され、音声増幅モードも利用できます(※後述参照。Xiaomi製スマホかアプリが必須)。ハイレゾワイヤレスについては残念ながら「LDAC」は非対応ですが、日本市場では珍しい「LHDC 4.0」に対応しているので、「Xiaomi 11T Pro」のようなLHDC対応スマホのユーザーには貴重なイヤホンになると思います。

標準価格は通常23,800円(税込、以下同)ですが、現在はホワイトが13%オフで20,706円、ブラックが5%オフで22,610円です。


以下、要素別に細かく見ていきます。

なお、今回のレビュー機はシャオミからの提供品です。


Xiaomi Buds 3T Proのレビュー

Xiaomi Buds 3T Proの概要

Xiaomi Japanは2022年7月14日時点では完全ワイヤレスイヤホンは下記の機種をリリースしています。価格はAmazon.co.jpでの通常価格を記しています。


「Redmi Buds 3」シリーズと「Mi 完全ワイヤレスイヤホン2 Basic」はXiaomi Buds 3T Proとは価格帯が完全に異なります。スマートフォンのRedmiシリーズとXiaomiシリーズの位置付けと同様、ワイヤレスイヤホンでもRedmiシリーズは普及価格帯、Xiaomiシリーズは高価格帯です。

Xiaomi Japanのワイヤレスイヤホンのラインナップ(公式サイトより)
<▲画像:Xiaomi Japanのワイヤレスイヤホンのラインナップ(公式サイトより)>

この中で、ノイズキャンセリング機能を搭載しているのはXiaomi Buds 3T ProとRedmi Buds 3 Proの2機種のみ。前者は最大40dB、後者は最大35dBのノイズカット性能を有していますが、5dBの差は結構大きく、体感的にもXiaomi Buds 3T Proの方が優れていると分かります。

また、機種によって形状がバラバラだという点には注意が必要です。軸の有り無しで形状を大きく2タイプに分けると下記の通りです。


どのメーカーの製品も基本的にはイヤーピースと外耳道、ハウジングと耳介(外耳道の入り口周辺)の2カ所でイヤホンをホールドしますが、軸があれば多少支えになります。軸側にコンポーネントを分散することで耳介に収めるハウジングのサイズを小さくできるメリットもあります。

「Xiaomi Buds 3T Pro」の装着イメージ(公式画像より)
<▲画像:「Xiaomi Buds 3T Pro」の装着イメージ(公式画像より)>

軸無しタイプの「Redmi Buds 3 Pro」の装着イメージ(公式画像より)
<▲画像:軸無しタイプの「Redmi Buds 3 Pro」の装着イメージ(公式画像より)>

私自身、完全ワイヤレスイヤホンは幾つか試しましたが、どれもこれも耳が痛くなり、基本的には軸ありタイプの方が耳に痛みが生じるケースが少ないです。ただ、パナソニックの「Technics EAH-AZ40」のように軸が無くともハウジングが非常に小さく軽く、耳介も外耳道も痛くなりにくい製品もあります。いずれにしても機種を選ぶときには、軸の有無、イヤホン本体のサイズと形状にも注意してみて下さい。とにかく耳の形状は人それぞれなので、フィット感だけは実機を試すしか確認方法が無いと思います。

個人的にはXiaomiの5機種だと、Xiaomi Buds 3T ProとRedmi Buds 3が勧めやすく無難だと思います。


Xiaomi Buds 3T Proの特徴とスペック

Xiaomi Buds 3T Proの主な特徴は下図の通り、最大40dBのアクティブノイズキャンセリング機能、フィット感が良く軽量なデザイン、音質、外部音取り込みモード(外音取り込みモード)、長いバッテリー持続時間とされています。

「Xiaomi Buds 3T Pro」の特徴(公式サイトより)
<▲画像:「Xiaomi Buds 3T Pro」の特徴(公式サイトより)>

補足すると、ノイズキャンセリングモードはイヤホン単独でも利用できます。バッテリーの持ちはイヤホンのみで最長6時間、充電ケース含めると最長24時間。充電ケースはワイヤレス充電規格「Qi」に対応しています。もちろん、USB Type-Cケーブルを使っての充電もできます。

また、イヤホンはIP55相当の防水防塵仕様です。

Xiaomi Buds 3T Proは複数機器での利用に便利な「マルチポイント」機能にも対応しています。2台の機器で同時使用している時にシームレスに切り替わります。ノートPCで音楽を聴きながら作業をしている時にスマホで着信があったらスマホの通話に変わるといった具合で非常に便利です。

操作面については、イヤホン本体の軸に「外力センサーエリア」が設けられていて、基本的操作はアプリを使わずにイヤホンだけでも可能です(詳細は後述参照)。

基本スペックは下記の通りです。

  • 製品名:Xiaomi Buds 3T Pro
  • 型番:M2115E1
  • 重さ:48g(イヤホン+充電ケース)。イヤホンは片側4.9g
  • インピーダンス:32Ω
  • Bluetooth:5.2
  • 対応プロトコル:BLE、HFP、A2DP、AVRCP
  • 対応コーデック:SBC、AAC、LHDC
  • 連続駆動時間:約6時間(ノイズキャンセリング機能オフ時)
  • 最大駆動時間:約24時間(ケースでの充電を含めた場合)
  • 充電ケースの充電:USB Type-C、ワイヤレス充電「Qi」の両対応
  • イヤーピース:S、M、L、XLの4サイズが付属
  • カラーバリエーション:グロスホワイト、カーボンブラック


パッケージ、付属品

Xiaomi Buds 3T Proには3色のカラーバリエーションがありますが日本市場にはその内の2色、「カーボンブラック」と「グロスホワイト」が投入されています。今回レビューしているのはグロスホワイトです。

「Xiaomi Buds 3T Pro」のパッケージ内容(付属品)
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」のパッケージ内容(付属品)>

パッケージには、Xiaomi Buds 3T Pro本体(イヤホン)、充電ケース、イヤーチップ(イヤーピース)、ケースを充電するためのUSB Type-Cのケーブル、取扱説明書が収められています。

イヤーチップはイヤホン本体にMサイズが装着されていて、イヤーチップケースにS、L、XLが収納されています。

マニュアル(取扱説明書)は複数言語対応で、もちろん日本語も含まれます。


本体と充電ケース

Xiaomi Buds 3T Proはイヤホン本体も充電ケースもデザインは非常にシンプルでオーソドックスです。表面はApple製品の純正アダプターなどと同じような質感で、ツルツルと光沢のあるタイプで非常に綺麗です。

「Xiaomi Buds 3T Pro」のイヤホンと充電ケース。充電ケースはLEDインジケーターが光った状態の写真
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」のイヤホンと充電ケース。充電ケースはLEDインジケーターが光った状態の写真>

イヤホンは軸の外面のみ色味の異なるパール仕上げになっています。

イヤホンの軸の外面(マイク穴が空いた面)はキメの細かなパール風仕上げ
<▲写真:イヤホンの軸の外面(マイク穴が空いた面)はキメの細かなパール風仕上げ>

充電ケースは前面にLEDインジケーター、底面にUSB Type-C端子と機能ボタンがあります。

ワイヤレスで充電するときには下の写真のようにLEDインジケーター側を上に向けて充電器に載せます。ワイヤレス充電規格は「Qi」に対応しています。

充電ケースをQi対応ワイヤレス充電器に乗せたイメージ
<▲写真:充電ケースをQi対応ワイヤレス充電器に乗せたイメージ>

充電ケースはUSB Type-C端子のある底面を下にして立たせることもできますが安定しないので、基本的には普段どこかに置いておく時には寝かせる形になると思います。

充電ケース内にはイヤホン形状に沿ったスロットが設けられていて、マグネットでスポッと入る
<▲写真:充電ケース内にはイヤホン形状に沿ったスロットが設けられていて、マグネットでスポッと入る>


フィット感とイヤーチップ

イヤーチップ(イヤーピース)はS、M、L、XLの4サイズが付属しています。

イヤーピースはS、M、L、XLの4サイズが付属している(Mはイヤホンに装着済み)
<▲写真:イヤーピースはS、M、L、XLの4サイズが付属している(Mはイヤホンに装着済み)>

イヤーピースはシリコン素材のようで非常に柔らかく着け心地も良好です。

イヤホンは通常、イヤーピースの挿入深度など外耳道との接触状態によって音が変化します。特に浅いと低音域があまり出ない製品もあります。Xiaomi Buds 3T Proはイヤーピースが柔らかく外耳道への追従性が良く、密閉しやすいため、ポジションによる音質変化が少ないです。適当に装着してもベストサウンドが出るのは非常に気楽です。筆者が主に音楽鑑賞で使っている前述のパナソニック製「Technics EAH-AZ40」や「EAH-AZ60」はポジションによる中低音域の厚みがシビアに変化するため装着時に必ずベストポジションを探る作業が必要になります……。音楽鑑賞の音は良いのですが装着は面倒です。

イヤホンを適当に装着できること自体が製品の魅力の一つになると思います。しかも、多少動いても音が変化しにくいのでウォーキングやランニング中でも使いやすいですし、万一耳への当たりが強く感じる箇所があった場合でも音の変化を気にせずベストポジションを探って色々動かすことができます。

「Xiaomi Buds 3T Pro」のイヤホン本体をイヤーピース側から見た写真
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」のイヤホン本体をイヤーピース側から見た写真>

イヤーピースを取り外した状態。脱着は軽い力で手軽にできる
<▲写真:イヤーピースを取り外した状態。脱着は軽い力で手軽にできる>


次にイヤホン全体でのフィット感についてお話します。

最終的には人それぞれ耳の形が違うので参考程度にしかなりませんが、私はXiaomi Buds 3T Proのフィット感は完璧ではないものの良い方だと感じます。

保持能力は高く、運動中も簡単には落下しません。それでいて圧力を過度に感じる訳でもありません。

ただ、Xiaomi Buds 3T Proは前述したようにイヤーピース部分は柔らかく追従性が良いので外耳道(耳の穴)への圧迫感は無いですが、ハウジングに関しては私の場合はベストポジションに決まらないと左耳の耳介の一部に少し当たりを感じる箇所があります。そのため私は軸を持ってほんの僅か下に回転させ、痛くならない位置にしています。前述したようにある程度動かしても問題ないので、使いながらベストポジションを探っていけばいいでしょう。

「Xiaomi Buds 3T Pro」をイヤーピース側から見た写真。イヤーピースは柔らかくフィット感が良い
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」をイヤーピース側から見た写真。イヤーピースは柔らかくフィット感が良い>

ともかく、完全ワイヤレスイヤホンは有線イヤホンよりも圧迫感が強い製品が多いと思うので、フィット感を比較基準の一つに置いている人は多いと思います。そこで、私の場合のイヤホン探索情報を参考に記しておきます。

私はどのイヤホンでも外耳道(耳の穴)は痛くなりませんが、耳介、すなわち耳の穴の少し外の、ちょうどハウジング(イヤホンの本体ボディ部分)が収まる場所が製品によっては痛くなります。

まず、ソニーの「WF-1000XM4」は、ウォークマンユーザーということもあり、ワクワクドキドキ購入しましたが、両耳とも耳介の一部が痛くなり、諦めました。パナソニックの「EAH-AZ60」は耳介というか左耳の穴の入り口部分の後ろ側がなぜか痛くなり諦めました。同じパナソニックでもEAH-AZ40はベストポジションなら痛くなりません。先日キャンペーンで貰ったサムスン電子の「Galaxy Buds2」もAKGのサウンドは嫌いではないので結構楽しみにしていたのですが、EAH-AZ60と近い位置が痛くなりました。一応各イヤホンでは純正イヤーピース以外も試していて、イヤーピース次第では挿入ポジションの変化から痛みが軽減される場合もあるのですが、音質も変わります。無理難題な話だと承知していますが痛くなくとも適度なフィット感のない感触もまた気になります。先日試用レビュー記事を書いた「Du Smart Buds Pro」はXiaomi Buds 3T Proとよく似た形状とフィット感ですが、微妙に違い、やはり左耳の耳介がベストポジション以外だと少し痛くなります。

左から「Xiaomi Buds 3T Pro」、「Technics EAH-AZ40」、「Galaxy Buds2」
<▲写真:左から「Xiaomi Buds 3T Pro」、「Technics EAH-AZ40」、「Galaxy Buds2」>

結局、普段私はパソコンやウォークマンでは有線イヤホンを使い、スマホやタブレットで動画を見たりNintendo Switchでゲームをする時にはXiaomi Buds 3T Proを使い、スマホかウォークマンで無線で音楽を聴くときにはTechnics EAH-AZ40を使っています。どちらか一つを外に持っていく時にはノイズキャンセリング機能も使うのでXiaomi Buds 3T Proです。

話が逸れましたが、できれば購入前に実機でフィット感を確認する方がどのイヤホンでも無難です。


音質について

音質は冒頭でも書いたように、用途で印象が変わります。通話時、動画、音楽で分けて紹介します。

<通話時の音質>

通話時の音質はかなり良いです。他社品と比べる必要がないくらいクリアです。それは自分が話す声(相手のスマホから聞こえる声)も、相手が話す声(自分のスマホから聞こえる声)も両方です。

「トリプルマイクコールノイズキャンセリング」によってクリアな通話音質を実現(公式サイトより)
<▲画像:「トリプルマイクコールノイズキャンセリング」によってクリアな通話音質を実現(公式サイトより)>

「トリプルマイクコールノイズキャンセリング」によってクリアな通話を実現しているようですが、実際に相当クリアで、声質も自然に近いです。私が体験した完全ワイヤレスイヤホンは3万円以下の製品で10機種以下ですが、間違いなくその中ではトップです。イヤホンでの通話頻度が高い人には本当にオススメです。


<動画視聴・ゲームプレイ時の音質>

動画視聴時の音質も良いので、動画視聴用途がメインの場合にはXiaomi Buds 3T Proはオススメです。

スマホでYouTube動画の視聴時に利用するイメージ
<▲写真:スマホでYouTube動画の視聴時に利用するイメージ>

Xiaomi Buds 3T Proは音場が広く、非常にクリアで、動画視聴時のサウンドはイヤホンよりもオープンタイプ(開放型)のヘッドホンに近い印象を受けます。イヤホンによっては音場が狭かったり、全体的にこもりや圧迫感のある音だったり、役者の声が微妙に違ったり、音場全体の位置がおかしかったり、ということもあると思いますが、Xiaomi Buds 3T Proの場合は、とても自然な仕上がりです。ゲームプレイ時も動画視聴時と同様の感想です。

こればかりはいくら言葉で説明しても伝わりにくいのですが、Xiaomi Buds 3T Proの場合は、動画視聴やゲームプレイの際、イヤホンで聞いていることを忘れられるような自然な音場と音質だと言えばいいかもしれません。オープンタイプのヘッドホンに近いと書きましたが、スピーカーで聞いている感覚からもそう離れていないと思います。とにかく自然です。

私は普段「Nintendo Switch」でも完全ワイヤレスイヤホンをよく使いますが、Xiaomi Buds 3T ProはSwitchに合います。

「Nintendo Switch」での利用イメージ
<▲写真:「Nintendo Switch」での利用イメージ>

WF-1000XM4とEAH-AZ40は、根本的に音の周波数特性がNintendo Switchのスピーカーと異なるので、どうしても多少違和感を覚えます。BGMは良いのですが、キャラクターの声質が変わるのは嫌なんです。個人的にはSwitch本体のスピーカーの音と同じ系統での良い音を求めています。その点、Xiaomi Buds 3T Proは違和感がありません。そして全体的にクリアです。


<音楽鑑賞時の音質>

通話、動画、ゲームに関しては非常にオススメですが、音楽鑑賞については人によると思います。音場が広く、開放感があってクリアなのは動画等と同様の印象です。ただ、音楽鑑賞の場合は、どうしても解像感の高さや周波数帯域別にしっかりと音が出ているかも気になると思います。逆に低音を強調し過ぎたり、高音が強すぎるのも辛いと思います。

Xiaomi Buds 3T Proの場合、良くも悪くも音楽鑑賞時の音質も癖がありません。フラットに近いと思います。ただ、高音域が若干物足りないことと、解像感も同価格帯の製品の中でもトップとは言えないと思います。

音楽鑑賞に限って言えば、WF-1000XM4、EAH-AZ60、EAH-AZ40の方が音の解像感が高く、小さな楽器の音なども聞こえやすいと思います。ところが、WF-1000XM4とEAH-AZ60は全体的に音に癖があるので、好みは分かれると思います。無難で聞き疲れしにくいのはEAH-AZ40やXiaomi Buds 3T Proだと思います。

価格帯からも多くの方がこの辺りの製品と比較すると思います。後はSennheiser辺りでしょう。

WF-1000XM4、EAH-AZ60、EAH-AZ40は、どちらかというと頭の少し前に狭い音場があり、その中で解像感高く音が鳴っているという感じです。また、WF-1000XM4は特に低音域の押し出しが強い印象です。一方のXiaomi Buds 3T Proは、頭を中心に音場が少し広く展開して、こもりの少ない感じです。動画視聴やゲームプレイ時に感じるものと同じで、開放感がある音場です。

周波数特性としてはフラットに近いと書きましたが、中音域中心で、低音はほどほど、高音は弱めです。Xiaomi Buds 3T Proを使っていると、とにかく「万人向け」「自然」「聞き疲れしにくい」を重視して設計しているように感じます。良くも悪くも無難です。

音楽鑑賞を最重要視する方で、とにかく高音質を求める場合にはXiaomi Buds 3T ProよりEAH-AZ60の方が良いと思います。音場は狭いですが、慣れると言えばすぐに聞き慣れますし、後は解像感の高い音を楽しめます。ただ、動画とゲームだと違和感を覚えるので、イヤホン選びは難しいですね。

とはいえ、Xiaomi Buds 3T Proの音楽鑑賞時の音も、解像感が悪い訳でもありませんし癖が少ないので聞きやすいと思います。


操作とスマホでの管理/設定機能

Xiaomi Buds 3T Proの操作は基本的にはイヤホンに搭載されている「外力センサーエリア」を用いて行います。外力センサーエリアは軸の側面に搭載されていて、軸をつまんだり、ピンチ操作をしたり、2秒間押し続けるなどの操作によって、再生/停止、曲送り、ノイズキャンセリングモードのオン/オフ、外音取り込みモードなどの切り替えができます。

左側のイヤホンの軸に凸状の部分があり、そこが「外力センサーエリア」となっている。右側のイヤホンにも同じ面に外力センサーエリアがある
<▲写真:左側のイヤホンの軸に凸状の部分があり、そこが「外力センサーエリア」となっている。右側のイヤホンにも同じ面に外力センサーエリアがある>

「外力センサーエリア」での操作方法についてのマニュアルの記載。機能割当はXiaomiのスマホなどで変更可能
<▲写真:「外力センサーエリア」での操作方法についてのマニュアルの記載。機能割当はXiaomiのスマホなどで変更可能>

基本的に反応は良く、問題なく操作できるのですが、購入者には注意点があります。このセンサーエリアはスマホのタッチ操作と同じ感覚で軽いタッチで行ってもほぼ反応しません。「外力」と書かれているように、ある程度の力を感知するセンサーのようで、多少力を加えるイメージで操作する必要があります。スマホ感覚で軽いタッチでつまんだり2秒タップしても反応しないので注意して下さい。意外と悩むポイントだと思います。どれくらいの力で操作すればよいかはすぐに掴めるので、何度か操作すれば慣れます。

もう一つの注意点は、外力センサーエリアの操作機能の割り当て変更手段は主にXiaomiのスマホに限られることです。

Xiaomi Buds 3T Proは、イヤホン専用のアプリが用意されている訳ではありません(非公式のサードパーティアプリはある)。イヤホン自体は他社のスマホやiPhone、ノートPC、Nintendo Switchなどでも使えますし、再生/停止、曲送り、ノイズキャンセリングモードのオン/オフ/外音取り込みモードの切替も問題なく利用できます。しかし、それ以外の機能は現時点ではXiaomiのスマホかアプリが無ければ使えません。Xiaomiのスマホの場合は、OSにイヤホン管理機能が導入されていて、「設定」→「Bluetooth」→「Xiaomi Buds 3T Pro」と進めれば、様々な機能を利用できます。

Xiaomiのスマホで「設定」→「Bluetooth」→「Xiaomi Buds 3T Pro」と進めた場合の管理/設定のトップ画面
<▲画像:Xiaomiのスマホで「設定」→「Bluetooth」→「Xiaomi Buds 3T Pro」と進めた場合の管理/設定のトップ画面>

XiaomiのスマホのBluetooth設定では主に下記の機能を利用できます。

  • バッテリー残量表示(イヤホン、充電ケース)
  • ノイズキャンセリングモードのオン/オフ及び細かなモード切替
  • 外部音取り込みモードのオン/オフ及び細かなモード切替
  • ジェスチャー割り当て変更(外力センサーエリアの操作割り当て)
  • 装着検出機能のオン/オフ
  • イヤーピースのフィット感テスト
  • イヤホン紛失アラート
  • イヤホンを探す

ジェスチャー割り当ては標準設定では下図の左側で、私は右側の設定にしています。設定の変更内容はイヤホン本体に保存されるので、一度変更すれば後はその割当がキープされます。例えば下図の例だと、Nintendo Switchで使っている時だろうと、音量アップ/音量ダウンの操作になります。人によりますが、基本的には音量調整に割当変更した方が便利だと思います。

「外力センサーエリア」のジェスチャー設定(操作割当変更)。左が出荷時設定(購入時)、右が筆者が変更した設定
<▲画像:「外力センサーエリア」のジェスチャー設定(操作割当変更)。左が出荷時設定(購入時)、右が筆者が変更した設定>

個人的にはXiaomiがイヤホンの管理/設定アプリを公式にリリースすべきだと思いますが、2022年7月14日時点ではありません。ただ、代替手段としてAndrei Zhukouski氏が作成/提供しているサードパーティアプリ「Mi Buds M8」を使ってXiaomi Buds 3T Proを始めとするシャオミのイヤホンを管理/設定をすることができます。


ノイズキャンセリングモードと外部音取り込みモードについては後述します。

イヤーピースのフィット感テストは、イヤーピースのサイズ選びの時やベストポジション探しなどに役立てられる機能で、外耳道を密閉できているかをテストできます。

イヤーピースのフィット感テスト機能のイメージ。わざと右側を緩くしてみたら、再調整が必要とのメッセージが表示された
<▲画像:イヤーピースのフィット感テスト機能のイメージ。わざと右側を緩くしてみたら、再調整が必要とのメッセージが表示された>

イヤホン紛失アラートは、イヤホンの片方が充電ケースから3分以上離れるとアラートをしてくれる機能で、イヤホンを探す機能は、イヤホンが部屋のどこかにあるはずなのに分からない時などに音を出して見つける手助けをしてくれる機能です。


ノイズキャンセリング機能

ノイズキャンセリング機能は最大40dBのノイズカット能力を有します。

ノイズキャンセリング機能のサブモードは4つ。「アダプティブ」「ライト」「バランス」「ディープ」
<▲画像:ノイズキャンセリング機能のサブモードは4つ。「アダプティブ」「ライト」「バランス」「ディープ」>

単純にオン/オフできるほか、「アダプティブ」「ライト」「バランス」「ディープ」といった4種類のサブモードが用意されています。「アダプティブ」は、周囲の環境音に合わせて自動的に調整されるモードです。ただ、この4モードの切替はXiaomiのスマホのBluetooth設定からしか行えません。それ以外のスマホだと前述のサードパーティーアプリ「Mi Buds M8」を使うしか切替方法がありません。標準では「ディープ」モードになります。

とはいえ、実際には「ディープ」モードしかほとんど使わない気もします。

「ディープ」以外のモードだとエアコンを始めとする各種機械の駆動音が完全には消えません。逆に、多少は聞こえていた方がいいのなら「アダプティブ」「ライト」「バランス」も必要だと思いますが、それならオフでも構わないようにも思います。

なお、最大40dBカットとされていますが、概ね数値通りの印象です。ノイズカット能力だけで見るとソニーの「WF-1000XM4」の方が上ですが、イヤーピースの「ノイズアイソレーションイヤーピース」は密閉感が高い一方、癖のある装着感なので人を選ぶと思います。

Xiaomi Buds 3T Pro全般に言えることですが、ノイズキャンセリング機能も万人向けで癖の少ない作りだと思います。ノイズキャンセリング機能は、特に出始めの頃に顕著でしたが、妙な真空感というか違和感を覚える製品もありましたし、今でもノイズキャンセリング機能独特の違和感はどの製品でも多少ありますが、Xiaomi Buds 3T Proは違和感/不快感が少ないと思います。

一方で、前述のWF-1000XM4だと外で雨が降っていても全く雨音が聞こえなくなりますが、Xiaomi Buds 3T Proの場合は雨の強さにもよりますが、耳を澄ませば聞こえます。例えば天気予報で降水量が10mmとされている時に窓のそばで雨音を聞いた時の結果は下記の通りです。

  • ソニー WF-1000XM4:雨音は全く聞こえない
  • 耳栓「サイレンシア」:雨音は少し聞こえる
  • Xiaomi Buds 3T Pro:雨音はサイレンシアほどではないが少し聞こえる

また、ノイズキャンセリングモードをオンにした状態でのホワイトノイズは僅かです。

イヤホン単体でのノイズキャンセリングモードの利用も可能です。電車やバスなどの乗り物で寝る時に耳栓代わりに使うこともできますし、仕事や勉強で集中したい時にも使えます。ちなみに乗り物で使う時もサブモードは「ディープ」がベストだと思います。

なお、ノイズキャンセリングモードをオンにした状態で音楽を聴くと、全体的に若干こもった感じに変わる一方で低音の押し出しが増します。高音域の変化は少ないです。音楽への没入感も全体的に増します。低音の厚みを求める方は、むしろノイズキャンセリングをオンにした状態を好むかもしれません。フラットを好む場合にはオフの方が良いと思います。


外部音取り込みモード機能

外部音取り込みモードは、イヤホンを装着した状態でも未装着状態のように周囲の音も聞こえるモードです。ノイズキャンセリングモードのオン/オフと同様、外力センサーエリアを2秒間長押しすることで切り替えられます。また、XiaomiのスマホのBluetooth設定、もしくはサードパーティアプリからも切り替えられます。

「外部音取り込み」機能のサブモードは2つ。「音声増幅」と「外部音取り込み」
<▲画像:「外部音取り込み」機能のサブモードは2つ。「音声増幅」と「外部音取り込み」>

外部音取り込みモードにもサブモードが用意されています。通常の「外部音取り込み」モードと「音声増幅」モードです。この切替はイヤホン単独では行えません。Xiaomiのスマホかアプリが必須です。そのどちらも無い場合には、デフォルトの「外部音取り込み」モードになります。

「音声増幅」モードは人の声が聞きやすくなります。これが結構良くできていて、環境音の抑え込みは不自然にならない範囲で軽微なのに人の声だけ僅かに明瞭になります。若干声が細くなる印象ですが、違和感は少な目で、いずれにしても聞き取りやすくなります。

ただ、外部音取り込みモードでは若干ホワイトノイズが生じます。音楽や動画で音を流している時に気になるレベルではありません。また、ノイズキャンセリング機能をオンにした状態と違い、音楽鑑賞時の音質変化はあまりありません。


総括

Xiaomi Buds 3T Proはかなり良くできた完全ワイヤレスイヤホンだと思います。

音作りは非常にオーソドックスで比較的フラットに近く、癖がありません。低音を過度に強調するようなこともなければ、高音が耳に刺さるようなこともありません。音場は広く開放感があり、こもった感じが少なく、クリアで聞きやすいと思います。

特に通話、動画、ゲームなどに向いていますが、総じてXiaomi Buds 3T Proの音は無難で万人向けに設計されていると思います。

「Xiaomi Buds 3T Pro」
<▲写真:「Xiaomi Buds 3T Pro」>

フィット感は人それぞれですが、ベストポジションを探る自由度にはある程度余裕があります。

ノイズキャンセリング機能も超強力という程ではないものの十分効きますし、圧迫感/真空感のような不快感が少なく使いやすいと思います。外音取り込みモードの音声増幅機能も、必要な人には重宝されると思います。

マルチポイント機能も複数デバイスでの使用には欠かせないほど便利です。Bluetoothの接続性能も特に悪くありません。

注意点はイヤホンの管理/設定を全て行うことが可能な純正アプリがないことです。Xiaomi以外のスマホでも可能なら純正アプリを使いたい所です。もちろん代替手段のサードパーティーアプリはあります。

もう一点はハイレゾ音源をワイヤレスイヤホンで音質を可能な限り損なわずに聴きたい場合にはLDACかLHDCが必須ですが、Xiaomi Buds 3T ProはLDACには非対応だという点です(AACまで)。音楽鑑賞重視で自然な音場よりも解像感の高さや重低音、煌びやかな高音を求める場合には同価格帯以上の他社品の方が良いと思いますが、「Xiaomi 11T Pro」などのXiaomiのハイエンドスマホのユーザーであれば、Xiaomi Buds 3T Proは唯一と言っていいほど有力な選択肢になると思います。

イヤホン分野は「イヤホン沼」「ヘッドホン沼」という言葉があるほど、いつまで経ってもゴールが見えず製品選びが大変です。音質だけでなくフィット感や機能など、見るべき要素が多い上、人それぞれ音の好みも違います。

そうした中、本記事が多少なり参考になれば幸いです。


(商品提供:Xiaomi)

情報元、参考リンク
Amazon.co.jp/Xiaomi Buds 3T Pro製品ページ
Amazon.co.jp/Xiaomi公式ショップページ
Xiaomi Japan公式サイト/Xiaomi Buds 3T Pro製品ページ

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