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【一条真人的Androidライフ】第114回:ファーウェイ nova liteショックが日本のスマホ業界を動かしている?

スマホ界では時々、凄いショックを持った製品やアプリが登場してきて、大きな影響力を発揮する。今年、2017年前半のそんなプロダクトを考えると、これはファーウェイの「nova lite」ではないかと思う。

<▲図:人気機種となったnova lite>

nova liteは実用的な機能の面だけを考えると、大雑把に言って3万円級のスマホと同等のものを持っていながら、約2万円なのだ。

<▲図:nova liteはデザインもなかなか悪くない>

ちなみにnova liteは普通に店頭で販売されているわけではなく、MVNO(最近ではほぼ「格安SIM」「格安スマホ」事業者を指すことが多い)によって販売されるので、実売価格は事業者によって異なっている。例えば、Amazon.co.jpで格安SIMカードとセット販売されているものを見ると、約2万円だ。



また、その後に登場した「VAIO Phone A」のコストパフォーマンスもかなりの破壊力だ。

<▲図:人気機種となっているVAIO Phone A>

VAIO Phone Aも以前であれば3万円台で販売されるような機能/性能、クオリティなのではないかと思うが、価格は24,800円。この価格設定は多分にnova liteの影響を受けているのではないかと思う。LA(lite After)現象の1つと言えるだろう。

そして最近、ASUSが「ZenFone Go」の価格を15,800円に下げた。この機種は昨年の春頃に日本に投入された機種で、19,800円という低価格が売りだったのだが、nova liteが2万円で登場したら、もはやその価格では商品価値がないというわけだ。

すなわち、3万円以下の価格ゾーンの製品のほとんどはnova liteの影響を受けざるを得なくなったわけだ。

そんなnova liteに対して、他のメーカーがどう出てくるのか? というと、ダイレクトにライバルとなる機種を出すのは難しいだろう。

なぜなら、nova liteのプロセッサはファーウェイの自社製であり、このことがnova liteのコストダウンに貢献しているからだ。それゆえ、他社ではこの価格で同じようなスマホを作るのは難しい。

他社にできるとすれば、ちょっと機能が良い機種を、ちょっと高い価格で販売すること程度だ。少し上のゾーンを押さえるというわけだ。これが現状ではVAIO Phone Aのポジションだが、実はパフォーマンスではnova liteに負けている(Antutuのベンチマークアプリを使ったスコアでの比較の場合)。それをディスプレイとカメラ、外装デザインでカバーしているという感じだ。

<▲図:VAIO Phone Aのメインカメラ。ソニーっぽい画質のカメラ機能も魅力だ>

かくして、大きな影響力を発揮することになったnova liteだが、ファーウェイの本領は普及機にあるはずと前から言っていた僕の予測を体現することになった。日本メーカーではダイレクトなライバル機種を出すのは難しいと思うが、ファーウェイが飛躍する前、日本のSIMフリースマートフォン市場を押さえていたASUSはどう動くのか? 僕は今、そのことに注目している。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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