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【一条真人的Androidライフ】第87回:Gear VRはVR競争を勝ち抜くか?

オランダのアムステルダムでVRを使った映画館がオープンしたようだ。そこで使用される機材は「GALAXY」と「Gear VR」だという。「Oculus Rift」(以下、オキュラス)はパソコンで処理を行う。パソコンとケーブルで接続されているため、1つの部屋で多くの人間が使うには適さないのに対して、Gear VRはスマートフォンをはめ込んでケーブルレスで使用できるため、取り回しがいい。

<▲図:Gear VR>

オキュラスを使って、やや不自由と思うのは、ケーブルだ。360度周囲を見回すようなことを何度もしていると(なにしろ、VRなのでコンテンツも周囲を見回すようなものが多い)、ケーブルが体に巻き付いちゃったりするのだ。一人で使っていてもそんな感じなので、ひと部屋に100人とかいたら大変なことになるだろう。また、1つのデバイスに1台、高性能パソコンを用意するのも面倒だ。

映像的にはオキュラスはGear VRよりも精細で視界も広く動きもスムーズなので、映像面では優位性がある。おそらく家で数人で楽しむ程度ならオキュラスでいいと思うが、人数が多い場合はGear VRのようなケーブル無しのほうが快適だ。

ちなみにオランダのVR映画館では回転椅子を使っているという。

観客はくるくる回転しながら、VR映像を視聴できるわけだ。ちなみにヘッドフォンはゼンハイザーの普通の音楽視聴用なので、「ドルビーアトモスホーム」(モバイル)のような仮想サラウンドが使われているのだろう。これだと、1人の視聴環境を基本的に管理しやすい。

これらのことから今後のVRについて推測できることが、Gear VRは今回のVR映画館のようなパブリック視聴に強いということ。そして、オキュラスは個人が高画質でVRを楽しみたい場合に使われるようになるのではないか? ということだ。

ちなみに、ここで使われるコンテンツは30分程度の長さだという。VR映画としてはマックス的な長さだろう。僕は今まで、様々なVR機材を使った経験があるが、連続して視聴したのは20分ぐらいがマックスなのではないかと思うが、かなり目が疲労した記憶がある。現時点のデバイスで普通のユーザーであれば、耐えられるマックス的な時間なのではないかと思う。

<▲図:Gear VRはこのようにスマートフォンをセットして使う>

また、「Galaxy S7はGear VRと互換性があり(サムスン電子のウェブサイト内のGalaxy S7に関するプレスリリースに記述がある)、Gear VRと接続できるという。リーズナブルなVR視聴機器として、Gear VR+Galaxyという構成はそれなりに成功するのかもしれない。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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