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【せう先生のスマホ講座】第23回:SIMロックフリーのスマホ・タブレットを大手キャリアの契約で使う方法(前編)

GAPSISをご覧の皆さん、「せう」です。こんにちは。最近、家電量販店、ゲームショップ、レンタルCDショップなど、いろいろな場所で「SIMロックフリー」のスマートフォン・タブレットを買えるようになりました。価格的にも、大手キャリアの端末よりも低廉な価格帯が中心で、最近ではスペックが高めの機種も出てきました。

イオンなどで販売されているSIMロックフリースマホ「ARROWS M01」(富士通製)

普通、このような大手キャリアを通さずに販売されているスマホ・タブレットは、MVNO(仮想移動体通信事業者)のSIMカードと組み合わせて使うことが多いですが、MVNOは、大手キャリアと比較して通信品質が安定しない傾向にあることと、通話定額が用意されていないことから、「今の大手キャリアとの契約のまま、SIMロックフリーのスマホ・タブレットを使いたい!」という需要も全くゼロではないはずです。

そこで、世間の風潮をある意味“逆張り”して、SIMロックフリーのAndroidスマホ・タブレットを、大手キャリアの回線で使う方法を2回に分けてご紹介します。今回は、契約手続きにまつわる話をしていきます。


■そもそも、新規契約やSIMカードのサイズ変更はできる?

ドコモの案内ページ

そもそも、スマホやタブレットをどこかで買ってきて、大手キャリアで新規契約できるのか、既に契約しているなら必要に応じてSIM(UIM/USIM)カードのサイズを変更できるのか、という疑問がつきまとうと思います。

結論から言うと、どちらもできます。キャリアショップ(ドコモショップ、auショップ、ソフトバンクショップなど)に行けば、端末購入を伴わずに新規契約やSIMカードのサイズ変更に応じてもらえます。ただし、注意点がいくつかあります。以下にそれを記しておきます。


■利用を希望する端末が技適などを取得しているか確認しよう

技適などの表示は目視で確認されます(写真は筆者のブログエントリーから転載)

まず、大前提として、使いたい端末が「技術適合認証(技適)」など、国内で「携帯電話」として通信するための法的要件をクリアしているかどうかを確認しておく必要があります。

後述のとおり、手続きは、使いたい端末をキャリアショップに持ち込んで行いますが、その際、窓口担当の店員さんが技適などの表示を目視で確認します。

技適などを「電磁的表示」(端末画面上での表示)する場合、端末の電源をオンにして、当該の表示があるかどうか確認してください。Androidの場合、端末設定内に表示するための項目があるはずなのですが、メーカー・機種によって所在が異なります。大概は、「設定」から「端末情報」を表示し、その中の「法的情報」あるいは「認証情報」といった項目にあります。

技適などが本体に直接、あるいは本体に貼り付けてあるシールに印字記載されている場合は、その印刷面を確認してください。


■通信可能規格・周波数帯を確認しよう

端末が技適などを取得していれば、その端末に合致したSIMカードを発行してもらえます。しかし、それを入れれば通信OK――とは限らないのが「SIMロックフリー」の世界です。その鬼門のひとつが、「通信可能周波数帯(バンド)」と、通信規格です。

国内キャリアがLTEと3Gで利用している周波数帯(バンド)一覧(総務省の資料)から引用
※クリックして拡大できます


国内キャリアが使うバンドを全て網羅しようとするとハードウェアが煩雑になるため、通常、SIMロックフリー端末は、ある程度対応バンドを絞っています。端末の対応バンドが、自分が使うキャリアが通信に使うバンドと合致しているかどうか、必ず確認してください。総務省では上の画像のとおりキャリアが利用する周波数帯一覧を公開していますから、これを参考にすると良いでしょう。

ただし、LTEの「バンド1」対応端末をau(KDDI・沖縄セルラー電話)で契約して使う場合は要注意です。というのも、auがバンド1で使っている上り(送信)周波数帯が、PHSの周波数帯に近接していて、バンド1で通信できる認証とは別に、「PHSとの混信対策を施している」ことの認証を取得しておかないといけないのです。この辺の事情は、au回線を使ったMVNOサービス「mineo」を展開するケイ・オプティコムが運営する「マイネ王」というサイトで解説されています。

「SIMフリー」スマホのほとんどがなぜmineoの動作確認端末一覧に載ってないの?(マイネ王)

au(や、au回線を使うMVNO)で使う予定がある場合、「au回線対応」をしっかり明記したスマホ・タブレットを調達しましょう。ただし、対応していても、3GにおいてCDMA2000に対応していないと音声通話できませんので、これまた注意が必要です。


■使えるネット接続サービスに制限がある

スマホ・タブレットを大手キャリアのモバイルネットワークでインターネットに接続する場合、キャリアで購入した端末の場合は、ドコモなら「spモード」、auなら「LTE NET」、ソフトバンクなら「S!ベーシックパック」を契約します。しかし、これらの接続サービス(ISP)は、自社で販売した端末を前提にしているため、SIMロックフリー端末では使うことができません。

ドコモの場合、spモードが使えないので「mopera U」などの契約が必須

じゃあ、何を使うの? というと、パソコンやモバイルルーター用に用意されている接続サービスです。具体的には、以下のサービスを使えます。
  • ドコモ→mopera U、FOMAデータ通信対応ISPのネット接続サービス(3Gスマホ・タブレット)、Xiデータ通信対応ISPのネット接続サービス(LTEスマホ・タブレット)
  • au→LTE NET for DATA
  • ソフトバンクモバイル→アクセスインターネットプラス

料金プランやパケット定額サービスについては、以下の通りの扱いとなります。

<ドコモ>
ドコモ端末と同じ条件で契約可。新規契約時は、LTE端末は新料金プランのみ、3G端末は新料金プランか、従来のFOMAプラン(バリューコース)で受付。パケット定額も、料金プランに応じたものを契約可能。データ通信しかしない(≒音声通話をしない)場合は、データ通信専用プランを選択することも可。

<au>
新規契約の場合、4G LTEの「デュアル契約」(音声通話+データ通信)のみ契約可。音声通話プランは、LTEプラン、または電話カケ放題プランを選択可(VoLTE用プランもOK)。ただし、「誰でも割」(2年契約)または「スマイルハート割引」(障害者割引)の加入が必須。パケット定額が必要な場合は、選んだ音声通話プランに応じたものを契約可。

データ通信しかしない(タブレットでの利用を含む)場合は、いったんデュアル契約で新規契約をした上で、その契約を「シングル契約」(データ通信専用契約)に移行する方法しかない模様。

<ソフトバンクモバイル>
3Gスマホの場合は、SoftBank 3Gの各種料金プランを新規契約可能。パケット定額も各種契約可能なものの、上限額は無条件で5700円(税抜)に。シンプルスタイル(プリペイド契約)の3Gスマホ用USIMカードも利用OK。

LTEスマホの場合、「スマ放題」(基本プラン+データ定額パック)のみ新規契約可。シンプルスタイル(プリペイド契約)の4G/4G LTEスマホ用USIMカードも利用OK。

現状では、タブレットの新規契約は受け付けていない。


■利用を希望する端末を持ち込もう!

とりあえず、もろもろの準備ができたら、端末を持ってキャリアショップに出向いて新規契約、あるいはSIMカードのサイズ変更手続きをしましょう。

満を持し、使いたい端末を持ち込みましょう!

ということで、次回は、実際に使う設定をしていきます!


記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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