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【河野謙三のガジェット・ゴーグル】 Nexus Oneの生まれた意味を今考える

本コラムは記事寄稿の形でGAPSISへ協力頂けることになった河野謙三氏(Twitter:@kenzokono)によるものです。河野氏はコンピュータ機器大手Cisco Systemsのエンジニアとして活躍した時代を含め、7年間に渡る北米での生活を経験。帰国後はNTTコミュニケーションズを経て、現在は金融機関に勤めながら、ITを中心としたビジネスの経営アドバイザリー活動を行っている方です。Androidに関してはNTTドコモ向けの端末「HT-03A」時代から愛用されており、とても詳しい知識を持っておられます。海外製品にも詳しく、今後は河野氏ならではの記事、コラムが続々と登場予定です。お楽しみに!

以下、第1弾コラムです。

いろいろとご縁があって今回からGapsisさんのサイトに寄稿することになったので、どんな内容がよいかなと考えた末、やはり第1弾はこの内容でしょう、とAndroid好きなら誰もが思う内容。販売から8ヶ月が経過しようとしている今、Nexus Oneが生まれ、市場に与えた意味を考えてみたいと思います。

Nexus Oneって何だったっけ?


Googleは1月5日(現地時間)、HTCと緊密に協力し、Android OS 2.1の持てる性能を最大限に引き出した、スマートフォンのさらに上を行く自称“スーパーフォン”「Nexus One」を発表しました。

スペックは当時最高峰のものを詰め込んでいて、諸元を見ていてもわくわくしたことを思い出します。

CPUはQualcomm Snapdragon 1GHzを搭載、3.7インチ・480×800ピクセルの有機ELディスプレイに対応しており、しかも発売前からマルチタッチに対応していることが判明していました。

細かいところを書いてしまいますが、IEEE802.11b/g/n対応の無線LAN、Bluetooth 2.1+EDR、GPS、電子コンパス、加速度センサー、照度センサー、近接センサーなどを装備。LEDフォトライトを装備しており、720×480ピクセル/20fpsでの動画撮影もできる500万画素のCMOSカメラをフルに活用することが出来ました。

また、通話に関しても手抜きはなく、マイクを2つ利用することでクリアな通話が可能となるアクティブノイズキャンセリング機能を搭載。日本においてはAndroidという端末自体がそれほど認識されておらず、当時NTTドコモからHT-03Aという1機種のみしか発売されていなかったことから、このNexus Oneに詰め込まれたスペックや機能の数々はまさに夢のようでした。


非公式ながら日本でも使用が可能だった


Nexus Oneはその通信方式が、2100/1700/900MHzのUMTSに対応していたことから、日本ではソフトバンク、NTTドコモの電波と互換性があり、非公式ながらこれらキャリアのSIMを挿入すれば使用することが出来る仕様でした。

最大通信速度は下り7.2MbpsのHSDPAと上り2MbpsのHSUPAをサポートしており、Snapdragonプロセッサの高速な動きと相まって、今までの「動きが遅く、もっさりしているからスマートフォンではブラウザなど開かない」といった固定概念をことごとく破壊してくれた端末でした。


どのくらい販売されたの?


米モバイル市場調査会社Flurryが、Google Nexus Oneの発売1週間の販売台数は2万台になると過去に予想しています。

このことからも、実はそんなに売れたわけではなく、商業的な見方をするとむしろ失敗といった空気すら感じてしまうところです。実際、1ヶ月ほど前にGoogleがNexus Oneの通信販売を終えることを発表した際に、その商業としての失敗を記事にしたメディアが数多くあったことは記憶に新しいです。


示したかったのは販売台数ではなくその至高の存在


Nexus Oneが我々に見せてくれたテクノロジーの数々は、当時(と言っても数ヶ月前のことなんですけどね)のちょびっと先の未来でした。

ソニーエリクソンのXperiaが登場する3ヶ月前の1月に、iPhone4の情報もなかった当時、我々のようなスマートフォン・ファンに対してGoogleが真摯に提示してくれたのは技術オタクの理想ではなく、現実でした。

その後Nexus Oneに触発されたかのように、様々なスペックや機能を詰め込んだスマートフォンが次々と発表、発売されることになりますが、これだけの機能を一度にユーザーに対して見せてくれたスマートフォンはこれから先も出ることはないでしょう。

そしてGoogleがNexus Oneの販売を打ち切るまでの引き際の良さにも感動を覚えます。こうした発売から発売終了までのわずか半年と少しの時間を、数々のスマートフォンの歴史とともに楽しませてくれたNexus Oneはまさに至高の存在といえるでしょう。


もうちょっとだけ続くんじゃぞ

既に一般向けの通信販売が終了してしまったNexus Oneですが、本国では開発者用端末として、有機ELディスプレイ搭載仕様もそのままで継続発売することが既に決定しています。また、英国、韓国などの通信事業者では現在も販売されています。


記事執筆者プロフィール
河野謙三
NSP-mono ファウンダー、代表
ブログ:NSP-mono blog、Twitter:@kenzokono

1996年から約7年間、アメリカに在住。シスコシステムズのエンジニアとしてインターネット黎明期に多くのサービス立ち上げに携わる。日本へ帰国後はNTTコミュニケーションズを経て現在は金融に勤務しながらITを中心としたビジネスのアドバイザリー活動を続ける。

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