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【レビュー】「Dangbei Atom」は小型軽量、美麗表示、3D Blu-ray対応、Google TVの便利さなどが魅力のDLPプロジェクター【更新】

Hangzhou Dangbei Network Technology Co., Ltd(以下、Dangbei)が昨年リリースした小型軽量のレーザープロジェクター「Dangbei Atom」(ダンベイ アトム)の実機レビューをお届けしたい。

<▲写真:「Dangbei Atom」>

Dangbei AtomのプラットフォームはGoogle TVなので「Netflix」や「Amazonプライムビデオ」「Disney+」「Hulu」「YouTube」など主要動画配信サービスを本機だけで手軽に楽しめる点も魅力。そして何よりプロジェクターとして高機能・高品質だ。

<▲写真:「Dangbei Atom」での実際の投影例>

明るくコントラストが高く、シャープで投写クオリティが高いことは勿論として、自動スクリーンフィット機能がとても便利。自動スクリーンフィット機能は、Dangbei Atomに搭載されたカメラ、センサーを活かし、スクリーンサイズや距離を測定し、自動的にベストフィットに補正してくれる機能。ズーム、台形補正、フォーカス調整を全てまとめて行ってくれる。

一般に、プロジェクターは定位置に設置する場合を別として、使う時にだけ出してくる場合には毎度のセッティングが面倒。その点、Dangbei Atomのセッティングは手間いらずで楽々。

また、Dangbei Atomは3D立体視にも対応している。しかも、3D Blu-rayも含めての対応だ。これは3D Blu-rayのファンには非常に重要な点だと思う。私自身、3D Blu-rayのファンでマーベル作品の新作を毎回3D Blu-ray入りのパッケージで購入しているが、同じような人は一定数いると思う。

ただ、3Dモードの使用にあたっては注意点もあるので、後述を参照して欲しい。

ともかくDangbei Atomの実機を試して得た感想は非常に良好。基本的に文句無しで、素晴らしい性能だと感じた。


一方で高品質&高性能だけに価格はそれなりに高い。通常価格は134,800円(税込、以下同)だ。ただし、本記事執筆時点で大手家電量販店では約123,950円で13%ポイント還元などの所もあるし、Amazonや楽天でも割引クーポン配布等のキャンペーンによって割引価格での購入もタイミングによっては可能なので、実売価格は11万円を切る(※5月14追記:14日時点ではAmazonで21,000円オフのクーポンが配布中です)。

小型で優秀なプロジェクターを探している場合には有力候補になるだろう。

下はAmazon.co.jpと楽天市場での製品リンク。

なお、Dangbei AtomはAmazonでは10日時点では在庫切れのため購入できない状況にあったが14日に販売再開している(※販売再開については14日に追記)。

Dangbei AtomのAmazonでの製品ページ
Dangbei Amazonストアページ
楽天市場/Dangbei Atom製品ページ
楽天市場/Dangbeiストアページ



Dangbei Atom(ダンベイ アトム)の実機レビュー

Dangbei Atomの特徴

Dangbei Atomの特徴をメーカーの資料を元に確認していきたい。

<▲写真:「Dangbei Atom」の特徴(メーカー資料より)>

Dangbei Atomは、薄型軽量ボディに高性能さを詰め込んだレーザープロジェクターで、プラットフォームはGoogle TV。

Androidスマートフォンと同様にGoogleアカウントでログインし、「Google Play」からアプリを自由に追加インストールして様々な動画配信サービスやゲームアプリなどを楽しむことができる。メーカーが公表しているスペック表にはCPUの記載まではないが、メモリは2GB、ストレージは32GB。実際に使った感じでは基本パフォーマンスに不満はなく、問題ない速度で動く。

<▲写真:「Dangbei Atom」は「Google TV」搭載プロジェクターなので様々なアプリを楽しむことができる。「Netflix」などの主要動画配信サービスも利用可能(メーカー資料より)>

主要動画配信サービスでは「Netflix」「Amazonプライムビデオ」「Disney+」「Hulu」「Twitch」など幅広く対応し、もちろん「YouTube」も利用できる。付属のリモコンにはYouTube、Netflix、Amazonプライムビデオの専用ボタンも用意されているので、それらのサービスは特にアクセスしやすい。リモコンはBluetooth接続タイプなので、操作時にプロジェクターの方を向ける必要はない。

<▲写真:リモコンには主要動画配信サービスの専用ボタンの他、サイドボタンで手軽に補正やメニュー操作ができる(メーカー資料より)>

Google TVなので「Chromecast」機能も利用できる。スマホからの直接キャストできて便利だろう。

次にプロジェクター仕様を見ていきたい。

プロジェクターの方式はDLPで、輝度は最大1200 ISOルーメン、解像度はフルHD(1080p、1,920 x 1,080)、光源寿命は30,000時間、また、DLP方式での3D立体視にも対応する。

<▲写真:「Dangbei Atom」の特徴(メーカー資料より)>

HDR規格対応は「HDR10」「HLG」だが、これらについてはストリーミングサービスのみでの対応で、HDMI入力やUSB接続では対応しない(※なぜか「Fire TV Stick 4K Max」はHDR対応だった。機器によるのかもしれない。追記:メーカーに問い合わせたところ、機器による違いはあるがHDMIでもHDRを利用できるとのこと。詳しくは後述参照。)。とはいえ、HDRオフの状態でもDangbei Atomはコントラストが高く、とても綺麗な表示なので、特に不満に思うこともないかもしれない。

<▲写真:「Dangbei Atom」の画質、明るさについて(メーカー資料より)>

投写スクリーンサイズは40インチから180インチで、推奨サイズは60から100インチとされている。

フォーカスとキーストーン(台形補正)はどちらもオート及びマニュアル対応している。台形補正は最大で±30度まで。スマート障害物回避機能もある。

そして、フォーカス、キーストーン、ズームをまとめて自動で行ってくれる自動スクリーンフィット機能も搭載されている。冒頭でも述べたが、自動スクリーンフィット機能はとても便利なので、プロジェクター設置時の各種調整は手間いらずだ。

ズームに関しては、最小で50%にまで縮小できる。

<▲写真:補正機能について(メーカー資料より)>

オーディオ面では、最大5Wのスピーカーを2つ搭載するステレオ構成。加えて、「Dolby Digital」「Dolby Digital Plus」に対応する。Bluetoothも利用できる。Dolby AudioについてはHDMI入力にも対応する。

<▲写真:オーディオ性能について(メーカー資料より)>

入出力端子は、HDMI入力(ARC対応)が1つ、USB 2.0が1つ、3.5mmオーディオ出力が1つ、電源アダプター接続端子が1つ。低価格帯や中価格帯のプロジェクターだとARC非対応の製品が多いが、Dangbei AtomのHDMI端子はARC対応なので、AVアンプ/ホームシアター環境をお持ちの方など、ARC対応HDMI端子を求めている方には魅力の一つだろう。

<▲写真:入出力端子について(メーカー資料より)>

ネットワーク機能はWi-FiがIEEE802.11a/b/g/n/ac(2.4GHz、5GHz)準拠で、Bluetoothは5.1/BLE対応。

本体サイズは約19.5 x 19.5 x 4.8cmで、重さは約1.28kg。小型、薄型、軽量なので、カバンに入れて持ち出すことだってできるだろう。

消費電力は80Wで、ノイズは標準モード(「標準モード」とは「輝度」の設定モードの一つ。初期設定では「標準モード」になっている)で24dB以下とされている。

本体パッケージにはDangbei Atom本体の他、電源アダプター(120W)と電源コード、リモコン(Bluetooth接続)、取扱説明書、清掃用のファイバークロスが入っている。



Dangbei Atomの基本スペック

Dangbei Atomの基本スペックは下図の通り。

<▲写真:「Dangbei Atom」の基本スペック表(メーカー資料より)>

なお、Dangbei Atomのマニュアルも参考になると思うので、購入前にチェックしておくことをお勧めしたい。

Dangbei Atomのマニュアル(日本語のページは後半)



Dangbei Atomのパッケージと付属品

Dangbei Atomのパッケージと付属品を見ていきたい。パッケージも本体同様でコンパクト。

<▲写真:「Dangbei Atom」のパッケージ>

Dangbei Atomの付属品は前述したように電源アダプター、電源コード、リモコン、取扱説明書、ファイバークロス。

<▲写真:付属品はマニュアル、リモコン、ACアダプターなど>

電源アダプターは120Wで、電源コードはアダプターと脱着できるタイプ。Dangbei Atomは高額製品だけあって非常に良くできていることもあり、基本的に不満点はほとんどないのだが、アダプターとコードについては唯一の小さな不満点。

<▲写真:「Dangbei Atom」本体と電源アダプター及びケーブルのサイズ比較>

Dangbei Atom本体はとてもコンパクトだが、アダプターは一昔前のノートPCのアダプターくらいのサイズで、電源コードも据置型のプロジェクターのコード並に太い。せっかく本体がモバイルプロジェクターと変わらないほど小さいので、アダプターとコードもコンパクトなら最高だったのに、と感じた。とはいえ、外に持ち出すような使い方は稀だと思うので、実用上は電源アダプターのサイズが支障になることはないと思う。

リモコンは質感が高く、好印象。

<▲写真:リモコン>

リモコンのデザインもとても綺麗。表面仕上げもしっとりしていて手触りが良いし、ボタンも押しやすい。YouTubeやNetflixなどの専用ボタンがあるのも便利だ。

また、Bluetoothリモコンなので操作時に本体に向ける必要がない点も利点。

リモコンは単4形乾電池2本での駆動。



本体デザインと入出力端子

Dangbei Atomの本体デザインは非常に優れていて高級感溢れる質感が魅力。どの角度から見ても高級感を感じる。

<▲写真:天面(上面)には「Dangbei」ロゴのみ>

天面はフラットでロゴのみ。

側面は左右が通気口でもあるので、メッシュ形状になっている。排気では吸気が行われる。

<▲写真:正面から見た場合の右側面>

<▲写真:正面から見た場合の左側面>

背面には排気口、電源ボタン、入出力端子、電源アダプター端子などが配置されている。

<▲写真:背面には電源ボタン、HDMI入力端子、USB 2.0端子、3.5mmオーディオ出力端子、電源アダプター端子が設けられている>

Dangbei AtomのHDMI入力端子はHDMI 1.4で、4K信号の入力には対応していない。ARCには対応する。USB端子はUSB 2.0で、USBメモリ等のUSBストレージの利用の他、Fire TVシリーズなどのUSB給電タイプのドングルへの給電にも使える。

前面にはレンズ、深度センサー、CMOSカメラが搭載されている。

<▲写真:正面にはレンズやセンサー類がある。レンズは完全にカバーされているので、正面や上面から埃は侵入できない>

深度センサーやカメラはフォーカスや台形補正などの自動スクリーンフィットなど、補正を行う際に利用するためのもの。レンズ部分は完全にカバーされているため、指で直接触れることはできない。そのため、前面や天面から埃が侵入することはない。

<▲写真:「Dangbei Neo」>

以前、同じメーカーのプロジェクター「Dangbei Neo」のレビュー記事を公開したが、高級感はDangbei Atomの方が上。先程も書いたが、とにかく質感が高くカッコいい。パッと見にはプロジェクターだと分からないくらいスタイリッシュで、武骨さは皆無。

底面には三脚などのスタンドを接続するためのネジが設けられている。

<▲写真:底面>



スクリーンサイズ、スクリーン間距離

Dangbei Atomの投写サイズは40インチから180インチ、推奨サイズが60から100インチとされている。据置型の大型プロジェクターと比べるとレンズが小さいこともあり、あまり大画面にするとボヤけたり滲んだような表示になるのではと心配したが、全くそのようなことはなく、少なくとも80インチ程度だとシャープでクッキリとした表示クオリティ。

冒頭でも書いたが、Dangbei Atomのプロジェクターとしての性能は文句なしで素晴らしいと思う。

<▲写真:写真では分かりにくいかもしれないが、実際には小さな文字もシャープ>

スクリーンサイズとスクリーン間距離の関係は下記の通り。

・60インチ(133 x 75cm):1.6m
・80インチ(177 x 100cm):2.1m
・100インチ(221 x 124cm):2.7m
・120インチ(265 x 149cm):3.2m

今までに据置型のプロジェクターを使った経験がある方はわかると思うが、Dangbei Atomの焦点距離はそれらと比べると短め。ズーム機能を使って縮小する場合にはスクリーン間距離をある程度離すことができるが、そうでない場合には視聴者の前方にDangbei Atomを設置することになると思う。

特に3D立体視で3Dコンテンツを視聴する場合にはそうなる。3D立体視を絶対に使わないというのであれば、上記のスクリーンサイズ/距離の情報は無視してしまっても構わないくらい自由度があるが、そうでないのであれば、一応この数値で設置することを想定した方が良いと思う。



ズーム、自動スクリーンフィットなどの補正機能、明るさについて

普通の2Dコンテンツを視聴する場合には、Dangbei Atomのセッティングはとても楽で手間いらず。とにかく自動スクリーンフィット機能が超便利だからだ。しかも正確。

<▲写真:「自動スクリーンフィット」機能について>

この手の自動補正機能は精度が悪いと全く意味をなさないが、Dangbei Atomのスクリーンの認識及びそれに合わせたズーム調整、そして台形補正とフォーカス調整はいずれも正確無比。素晴らしい精度だと思う。

基本的には自動スクリーンフィット機能を使えばいい。一発でスクリーンにピタッと合うサイズで正確に表示されるのは本当に気持ちいい。

一方で、ズーム調整はマニュアルで行い、フォーカスとキーストーン補正のみオートで行いたい場合にはそれも可能。また、完全にマニュアルで調整することもできる。

<▲写真:マニュアルでの画像補正も勿論できる>

なお、ズームについては最小で50%にまでできる。例えば、100%表示だとスクリーン間距離が2.1mのときに80インチだが、50%にすれば同じ距離でも40インチにまで小さくできる。

ともかくDangbei Atomのフィッティング機能は優秀なので、一昔前のプロジェクターから乗り換えると感動すると思う。

次に明るさだが、スペック上は最大1200 ISOルーメンとなっている。

照明下での使用も問題ないので、ビジネス用途、会議での使用時に照明がついた状態でも大丈夫だ。もちろん、完全なコントラストを得たいのであれば照明を落とした方がいいのは全てのプロジェクターで同じだが、Dangbei Atomは十分明るい。

<▲写真:照明をオフにした、暗い部屋での投影イメージ1>

<▲写真:照明をある程度点灯させた状態の、それなりに明るい部屋でのイメージ>

照明を落とした部屋での視聴だと、とにかくコントラストが良く、白は明るく黒は深いし、濃淡の表現も鮮やかで、とても綺麗に表現してくれる。こんなに小さな光学系なのに本当に良い。

<▲写真:照明をオフにした状態での投影イメージ2>



HDRについて

非常に美麗な表示のDangbei Atomだが、HDR対応については注意点がある。

<▲写真:「Amazonプライムビデオ」でHDRコンテンツを視聴しているところ>

前述したようにメーカーの資料によればHDMI入力ではHDRには非対応となっている(※5月10日時点)。基本的なコントラストが高いこともあり、HDRオフでも十分綺麗に見えるので、不満点とまではいかないが、実は不思議なことに、なぜか「Fire TV Stick 4K Max」を繋いだときには、しっかりとHDRが認識された。一体どういうことなのか……?

ということで、ここからは5月14日の追記内容となるが、メーカーに問い合わせた所、機器によって異なるもののHDMI入力でもHDRを利用できるとのこと。では、なぜ、ストリーミングサービス以外ではHDRを利用できないと記していたのかというと、当初はHDMIでのHDRが不安定だったため非対応としていたとのこと。しかし、アップデートを重ねて安定してきたため、現在では機器によってはHDRを使える。とはいえ、機器によって違うようなので注意は必要だ。

<▲写真:「Fire TV Stick 4K Max」によるオーディオ/ビデオ診断の結果>

<▲写真:「Fire TV Stick 4K Max」をHDMI入力端子に繋いだ所、「HDR10」「Dolby Audio」が利用できることが分かる表示>

なお、筆者が試したときには「Xbox One」ではHDRは利用できなかった。

<▲写真:「Xbox One」を繋いだ場合はHDR非対応と表示された>



表示クオリティについて

Dangbei Atomの表示クオリティは非常に良い。フルHDプロジェクターの中ではトップクラスだと思う。これだけ小さな光学系なのに大型機並のクオリティを実現しているのは凄い話で、それがスクリーンサイズが80インチでも破綻していない。

<▲写真:「Amazonプライムビデオ」での表示例>

モバイルプロジェクターなど光学系が小さい製品の場合、スクリーンサイズが大きくなると、精細さが薄れ、のっぺりとした表示になりがちだが、Dangbei Atomは違う。以前レビューした「Dangbei Neo」もそうだったが、とにかくコントラストが高くシャープだ。

<▲写真:シャープさを確認できるために撮影した投影例だが、上手く撮影できず。実際には「Danbei Atom…」というタイトルの文字はもう少しシャープ>

これなら大型機を購入する意味はほとんどないかもしれない。あるとすれば、入出力端子の豊富さや更なる輝度、光学ズームや補正機能くらいかもしれない。もちろんそれらを重視したり、逆に予算を抑えたい場合には据置機が選択肢に入るとは思うが、そうでなければDangbei Atomは非常に良い選択だと思う。

<▲写真:「Fire TV Stick 4K Max」のホーム画面を投影したところ>



3D 立体視対応について

Dangbei Atomでは、DLP-Link 3D方式での3D立体視に対応している。しかも、嬉しいことに3D Blu-ray対応だ。ただ、残念ながら本体パッケージにはDLP-Link方式の3Dメガネは付属していないので、別途購入する必要がある。

また、注意点もある。

それは、3Dモードをオンにすると、デジタルズームや台形補正が使えなくなることだ。もちろん自動スクリーンフィットもできない。スクリーンに対して物理的に適切な距離、正面にプロジェクターを設置しなければならない。場合によっては別途一脚や三脚などのスタンドが必要になるかもしれない。

また、3Dモードの使い方は、少し分かりにくいので、それについても触れておきたい。

普段自動スクリーンフィット、もしくはズーム機能を使ってフィッティングしている場合、一旦それらをオフにした補正無しの初期状態に戻す必要がある。このことをマニュアルでは「初期設定の画像に戻す」と書かれている。この書き方自体、よく意味を掴めないと思うが、実際のDangbei Atomのメニューではさらに表記が異なるので分かりづらい。

実際の操作では、リモコンのサイドボタンを押してプロジェクターメニューを出し、「画像補正」→「形状補正初期化」と進める。この「形状補正初期化」という表記が、「初期設定の画像に戻す」という操作を指している。

<▲写真:3Dモードを使う前に「形状補正初期化」の操作が必要>

次に3Dモードをオンにするには、再びプロジェクターメニューに戻り、「GTV設定」→「ディスプレイと音」→「画像」→「3Dモード」と進める。これで3Dモードメニューが表示される。3Dモードは、「左右3D」「上下3D」「ブルーレイ3D」の3種類が用意されているので、3D Blu-rayを視聴するときには「ブルーレイ3D」を選ぶ。適切な3Dモードに切り替えた後はリモコンの「戻る」ボタンを3回くらい押せばコンテンツの視聴画面に戻る。

<▲写真:3Dモードでは「左右3D」「上下3D」「ブルーレイ3D」の3つのモードから選択できる。ブルーレイ3Dについては、実際に3D Blu-rayで3Dコンテンツを再生している時にオンにできる>

3Dコンテンツを好んで視聴するユーザーは世界的にも減っていると思うが、筆者のように、未だにマーベルのMCU作品の3D Blu-ray同梱パッケージを購入し続けている人も一定数いると思う。3D Blu-rayを今までほとんど見ていない方はご存知ないと思うが、少なくとも日本市場において新作の3D Blu-rayを販売してくれているのはディズニー/マーベルくらいなので、現状では3D Blu-rayのファン≒MCUファンという状況にあると思う。私も以前はディズニーの3D Blu-rayパッケージ(現在は4Kディスク入りパッケージに3D Blu-rayも入っている)の価格の高さを嘆いていたが、今では高いとは思いつつも、出してくれるだけありがたいと、感謝の気持ちが強くなってきてしまっている。

話が逸れたが、Dangbei Atomは昨今では貴重な3D Blu-ray対応プロジェクターなので3D好きの方には適していると思う。



オーディオ、Dolby対応、騒音レベルについて

Dangbei Atomが搭載するスピーカーは5W x 2のステレオスピーカー。オーディオ規格としては「Dolby Digital」「Dolby Digital Plus」に対応している。

<▲写真:音は「Dolby Audio」ロゴのある辺りから聴こえてくる。反対サイドも同様>

スピーカーの音質はごく普通のレベル。プロジェクター内蔵のスピーカーはおまけ程度の製品が多い中では悪くないし、癖もなく聞きやすい。ステレオサウンドの左右バランスも良好。

しかし、Dolby Audio対応について期待し過ぎるとガッカリするかもしれない。あまりサラウンド感はない。ただ、先ほど書いたように癖がなく聞きやすいので、特に不満を感じることもない。加えて、Dangbei Atomの冷却ファンの音が非常に小さいのも奏功して、作品視聴に集中できる。

そもそも小型軽量モデルなので、十分健闘していると思う。物足りない場合にはAVアンプ+マルチチャンネル用のスピーカー構成でリアルサラウンド環境を整えるか、サウンドバーなどで補えばいいと思う。

ちなみに排気は背面から後方に向かって行われる。

<▲写真:排気は背面から後方に向けて行われる>

しかし、騒音レベルについては注意点もある。「輝度」のモード設定を「ハイパフォーマンス」にするなど、明るさを極端に上げると冷却ファンの回転数が上がり、それなりの騒音ノイズになる。先ほどから静かだと書いているのは、初期設定である「標準」モードの場合のこと。標準モードだと、ノートPCやミニPCのファンくらい静かな動作音となる。標準モードでも十分明るいので、ハイパフォーマンスモードにする必要性は全く感じないので、あまり気にしなくていいかもしれない。

なお、Dolby AudioについてはHDMI入力でも対応しているので、ゲーム機などでも問題なくDolby Digital/Dolby Digital Plusでサウンドを楽しむことができる。

<▲写真:「Dangbei Atom」はBluetoothスピーカーモードを使って、スマホなどの音楽をBluetoothで手軽に楽しむこともできる>

また、Dangbei AtomはBluetootスピーカーモードを搭載しているので、Bluetoothスピーカーとして活用することもできる。スマホやウォークマンなどの音楽を聴くときにBluetoothスピーカーとして活用できる。



Google TV、光源寿命など

Dangbei AtomのGoogle TVのバージョンは本記事執筆時点のソフトウェアでは11。Wi-Fi対応なので、将来的にアップデートが配信されたときにはオンラインでアップデートできる。

内蔵ストレージは初期のセットアップ後の状態で約22GB空いていた。これだけあれば十分沢山のアプリを入れられると思う。

<▲写真:「Google TV」なので「Google Play」から様々なアプリをインストールできる>

プラットフォームがGoogle TVなので、とにかくアプリは豊富だし、主要動画配信サービスは基本的に問題なく利用できる。やはり便利だ。

Dangbei Atomのもう一つの特徴は光源寿命の長さで、30,000時間。普通のユーザーがこの寿命を使い切ることはなかなかできないと思う。消費電力もプロジェクターとしては低く、80W。



総括

Dangbei Atomは本記事の冒頭でも述べたように、小型軽量モデルながら据置型モデル並に高性能・高品質なので、基本的に文句無しのプロジェクターだと思う。今回、短期間ながら試用した中では特に不満点はなかったし、欠点らしい欠点も見つからなかった。

<▲写真:「Dangbei Atom」>

せいぜいが注意点くらいで、それは3D Blu-rayを見るとき、すなわち3Dモードをオンにした場合には自動スクリーンフィットを含めたズーム、台形補正が効かないということ。とはいえ、それも物理的に適切な位置に設置すればいいだけだし、Dangbei Atomは小型軽量なので、低負荷用の安価なスタンドでも十分支えられると思う。

また、冷却ファンの音が小さい(モードにもよる)ので、視聴中にノイズに邪魔されない点も良い。

あとは価格だろうか。10万円を超える製品なので、ポンと気軽に買うのは難しいと思うが、優秀なフルHDプロジェクターを探していて、できるだけコンパクトなもの、かつ、多機能なスマートプロジェクターがいい、というのであれば、Dangbei Atomは有力候補だと思うし、3D Blu-ray目当ての場合にもそうだろう。

個人的に欲しいぐらい凄く良かった。

※更新情報(5月13日):Amazonでの製品ページの差し替えを行いました。また、Amazonでの在庫状況及び入荷予定日について追記しました。また、HDMI入力でのHDRの可否についてもメーカーに問い合わせ中です。回答があり次第追記します。

※更新情報(5月14日):Amazonで販売再開した旨を記しました。また、HDMI入力でのHDRの可否についてのメーカー問い合わせ内容を反映した修正を行っています。

情報元、参考リンク
Amazon/Dangbei Atom製品ページ
Amazon/Dangbeiストアページ
楽天市場/Dangbei Atom製品ページ
楽天市場/Dangbeiストアページ
Dangbei公式サイト

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