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【島田純のMobile×Travel】第52回:国内でも増えてきた「デュアルSIM」端末のメリットと注意点

スマートフォンではASUSの「ZenFone 2」(ZE551ML)、Huaweiの「honor6 Plus」などの機種が、モバイルWi-FiルータではNECプラットフォームズの「Aterm MR04LN」(以下、MR04LN)など、国内向けに販売される機種でも「デュアルSIM」をサポートする機種が増えてきました。

MR04LNのSIMカード切替は再起動が必要


「デュアルSIM」はその名の通り、2枚のSIMカードを入れて使い分けができる機能で、音声通話用とデータ通信用に別々のSIMカードを利用する、あるいは国内用と海外用で別々のSIMカードを使うなど、用途に合わせて様々な使い方が可能です。


[デュアルSIMの使い分けの例]
  • 音声通話用とデータ通信用のSIMカードを使い分ける
  • 国内用のSIMカードと海外用のSIMカードを使い分ける
  • 電波状況や通信量に応じてSIMカードを使い分ける

「2枚のSIMカードを切り替えて使うことができる」というフレーズだけ聞くと非常に便利なデュアルSIMですが、実際には機種によっては機能に制限がある場合があり、「思っていた機能と違う機能」になることもあるので注意が必要です。

例えば、モバイルWi-Fiルータの「MR04LN」のデュアルSIMは、2つのSIMカードスロットのどちらも4G LTEに対応しているものの、通信するSIMカードの切替には端末の再起動が必要となります。SIMカードの切替のために端末の再起動を行っている間は当然ながらデータ通信を行うことができません。

このため、「トンネル内などで一時的に電波が悪いのでSIMカードを切り替えする」という使い方には向かず、国内用と海外用のSIMカードを分けて使う、あるいはSIMカードの切替にはある程度時間がかかることを前提にした使い方をする必要があります。

また、デュアルSIMかつ同時音声通話待受サポートする機種であっても、「片方のSIMスロットはGSMのみ対応」となっている機種もあり、これらの機種で4G/3Gのデータ通信を行うSIMを切り替える場合は、端末内のSIMカードを差し替えて使う必要があるため、ソフトウェア上で同様の操作が行える機種と比べると不便です。


台湾版のGalaxy Note5

台湾版のGalaxy Note5のSIMカード切替はソフトウェア上で可能


また、「片方のSIMスロットはGSMのみ対応」となっている場合は、GSM方式での通信サービスが提供されていない日本では、GSM専用のSIMスロットでは一切サービスを利用することができないため、端末側としてはデュアルSIMをサポートしていても日本国内で利用する分については実質シングルSIM機種と同様となります。

2015年8月現在、残念ながら日本向けに発売されているデュアルSIMスマートフォンでは「片方のSIMスロットはGSMのみ」となっている機種が多いため、「片方は音声用にドコモのSIMを、もう片方はデータ通信用にMVNOのSIMカードを入れて切り替えて使う」という使い方は実現できません。

最近発売された機種ではZenFone 2 Laserが「両方のSIMスロットが4G/3G対応」となっていますが、ZenFone 2 Laserも3Gの同時待受には非対応となっているため、「音声通話用のSIMカードで音声通話待受を有効にしながら別のSIMでデータ通信」は実現できません。

このように、デュアルSIMをサポートする機種は増えてきましたが、日本国内で「デュアルSIM」の価値を存分に活かせる環境が無いのは寂しいところです。


記事執筆者プロフィール
島田純
ブロガー/フリーライター
Twitter:@shimajiro、ブログ:shimajiro@mobiler

ブログとモバイルと旅が好きなフリーランスのブロガー/ライター。
モバイルWi-Fiルータやデータ通信関連が得意です。

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