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【一条真人的Androidライフ】第22回:二極化していく世界とドコモのツートップ戦略

最近、僕の周りのあまりスマホ(スマートフォン)に興味があるわけでもない感じの人がスマホを買い換えた。買い換えた機種はNTTドコモ(以下、ドコモ)の「Xperia A」(ソニーモバイルコミュニケーションズ製)だった。ご存知のとおり、現在、ドコモは「ツートップ戦略」を打ち出し、このXperia Aと「GALAXY S4」(サムスン電子製)を推している。

「ドコモのツートップ」のポスターは電車内、駅構内などでも見かける

具体的に購入価格を優遇することでこの2つを買いやすくしているわけだ。ツートップ戦略自体に、他の端末メーカーの人たちは微妙に問題を感じているようだが、ドコモがこの2機種を推している理由はわりと単純なのではないかと思う。

一つには世界市場でのパワーバランスがある。現在、世界のスマートフォン市場のシェア(2012年、米IDC調査)は1位がサムスン電子、2位がAppleだ。そして、ソニーが国内メーカーの中で唯一上位に食い込んでいる。Appleの端末を扱っていないドコモが、単純に世界シェアで上位のメーカーの端末を推したところで大した疑問はない。

しかも、この2つの端末は、GALAXY S4が約5インチ・フルHD、Xperia Aが約4.6インチのHDディスプレイとサイズが違い、目指しているマーケットが異なるので、並べてユーザーにオススメするのもやりやすい。

GALAXY S4も5インチディスプレイ搭載モデルとしては狭額設計でコンパクトだ

言うまでもなくGALAXY S4はパワーモデルなので、ハイパフォーマンスなスマホを求める人に向くし、Xperia Aはミドルクラスだが、ディスプレイサイズの割にスリムなボディで握りやすい。先の人物も、GALAXY S4はハイパフォーマンスが魅力だが、握りやすさでXperia Aを選択したという話だ。

高性能端末が欲しい人はある程度の数存在するにしても、日常的に持ち歩きにくいのでは普通の人が扱いにくいと思っても仕方ない。ドコモのツートップ戦略は今後のスマホマーケットが、高性能端末を求める層と、日常的に使いやすい端末を求める層、この2つの層にユーザーが分化していくことを予感させる。

しかし、単純に持ちやすい端末というだけではユーザーにアピールできない。Xperia Aはこの面で正にプレミアムコンパクトだ。4.3インチのディスプレイを搭載していた「Xperia AX」と大差ないサイズのボディに約4.6インチのディスプレイを搭載したのだから凄い。さらに防水機能も高度化しており、その中に隠された技術も高度なことが伺える。実はXperia Aのボディにはグラスファイバーのコアフレームが使われている。側面のパーツを減らしながら剛性を上げて、小型化を実現している。

Xperia A。フルHDではないがバランスの良い優れたスマートフォンだ

Xperia Aのコンパクトなボディは高度な製造技術があってこそ

処理能力面でもXperia Aは「Xperia Z」と同じクアッドコアCPUを搭載することで、十分な性能を実現している。しかも、ディスプレイの解像度が下がった分、余裕も出る。持ちやすいミドルクラスのサイズにおいて、高度な技術で、それなりの性能を詰め込んだ密度の高い端末というのは今後1つのゾーンを構成していくことだろう。Xperia A以外でも、LGエレクトロニクスの「Optimus it L-05E」などもこのレンジの製品だろう。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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