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【一条真人的Androidライフ】第2回:Nexus 7でAndroidタブレットがブレークする?

Nexus 7
さて、米GoogleからGoogle製Androidタブレットが登場する。6月27日(米国時間)にサンフランシスコのモスコーニセンターで開催された「Google I/O」において発表された。

このタブレットはその名も「Nexus 7」だ。

「Nexus」といえば、言うまでもなく開発者向けのリファレンス端末に送られる名前であり、タブレットに「Nexus」の名前が冠されたのは初めてのことだ。

ハードウェアはASUS製で、搭載CPUはNVIDIA Tegra 3(KAIプラットフォーム)、OSはAndroid 4.1(Jelly Bean)になる。Tegra 3は現在、最速レベルのプロセッサだが、その価格からいまいちブレーク感がなかった。これをよりローコストにして、低価格の端末を製作できるようにしたのがKAIプラットフォームなのはご存知の通りだ。

この製品で興味深い点が少なくとも1つある。1つはなぜ、今、タブレットで「Nexus」を出すのか? そして、それはなぜ7インチなのか? ということだ。はじめに「Nexus One」が出てきたとき、当時のAndroidとしては超性能のスーパー端末であり、Android端末の水準を一気に引き上げた。「Nexus」という名前にはそういう使命があるはずだ(“なぜこれがNexus?”という端末もないでもないが)。

Nexus 7の前面/側面/背面


≪これまではAndroidタブレットの操作感は「iPad」に及ばなかったが≫

言うまでもないが、Android端末はスマートフォンでこそそれなりの評価を得ているが、タブレットに関しては正直、iPadの評価に及んでいない。iOS端末はタッチ操作のフィールがよく、画面の広いタブレットではその差がより大きくなってしまうのが理由の1つかも知れない。

しかし、「GALAXY SⅢ」など最近のAndroid端末ではかなり改善されてきており、そろそろタッチフィールは弱点ではなくなってきている。が、多くのメーカーが端末を出すAndroidでは、全ての端末が同等のフィールを持つわけではないのが残念なところだ。

「Nexus」というフラッグシップタブレットを出すことで、これからはこのぐらいのフィールのタブレットを作れと、1つの基準を示す気なのではないだろうか? と期待してしまう。


≪ミステリアスな7インチというサイズ≫

7インチというサイズの意図は推定しにくい。単に10インチの質の良いタッチパネルはAppleに持っていかれたから7インチになったとか、約200ドルという価格によるコスト的な問題なのかもしれないが、意図的に7インチにしたとすれば、そのサイズには意味があるはずだ。

故スティーブ・ジョブズはしばしば現在のiOSは7インチというサイズにUIがマッチしないので7インチのiPadは出さないというようなことを言っていたが、「Nexus」タブレットが7インチで出る以上、今後のAndroid OS、つまりは将来のAndroid 5.0を搭載したタブレットのUIは7インチレベルに最適化されていく、という方向性を示唆しているのかもしれない。


≪Androidタブレットの水準を引き上げる存在となるか?≫

KAIプラットフォームによって約200ドルという価格でトップクラスの処理能力を得た「Nexus 7」は、そのパフォーマンスと価格だけでも戦闘力の高いAndroidタブレットだが、「Nexus」という名前を背負うからにはそれだけのものではないはずだ。真価はよりタブレットに最適化されるという噂のAndroid 5.0を待つ必要があるのかもしれないが、「Nexus 7」がAndroidタブレットを1つ上の段階にブレークさせる存在になるのは間違いないだろう。

Nexus 7のデモ動画


Google I/Oでの発表後の紹介記事はこちら→「Google、7インチタブレット「Nexus 7」を発表。Tegra 3搭載、重さ約340g。製造メーカーは台湾ASUS」。

記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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