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【一条真人的Androidライフ】第30回:使いやすい道具か? 進化した道具か?

iPhoneの新機種、iPhone 5s、iPhone 5cが登場し、メディアのみなさんはその話題に騒然としているご様子だ。BCNのデータを見ると、スマートフォンのセールスの上位もiPhoneが席巻している。NTTドコモ(以下、ドコモ)がiPhoneを販売し始めたおかげで、日本のメインキャリア3社すべてがiPhoneを販売することになり、ランキング上位をiPhoneが占めたところで何の不思議もない。
http://bcnranking.jp/category/subcategory_0010.html


さて、BCNのランキングをよく見ると、肝心のドコモのiPhoneはau(KDDI)やソフトバンクほどには売れていないご様子。ドコモからiPhoneが出れば買うと言っていた人は多かったが、Androidにおいてもその通信速度が実は(都会においては)ナンバーワンではないということが明らかになってしまった現在となっては、通信速度を求めてドコモを買うという人も必ずしも多くはないということだろうか。

そして、1位2位がソフトバンク、3位4位がauで、auがソフトバンクの後塵を拝しているのは度重なるシステムトラブル、パケ詰まりなどが人々の記憶に新しいためだろう。スマホ関連のジャーナリストのみなさんが回線に関してはauがいいのでは? などと言っても、現実の人々の反応はこんなものだ。キャリアが公開する数値だけで説明されても、無条件で納得できる裏付けがないので当然のことだろう。

メーカーやキャリアが発表する数値が常に正しいなら、安愚楽牧場も信頼できることだろう。そういえば、安愚楽牧場の元社長が初公判で起訴事実を認めたようだ。なんにせよ、今後、現実のデータが出ればau回線の実力を人々が認めていくことだろう。

まあ、それはいいとして、問題はドコモが意外に加速していないことだ。そして、重大な問題は、今後、ドコモはAndroidをどう扱っていくのか? ということだ。ソフトバンクなどはAppleとの契約によりスマホの全販売台数の55%以上をiPhoneにするとかいう契約があるとみられている。実際にはソフトバンクのiPhone率は実に90%という話もあるので、特に問題はないだろう。

さて、ドコモはAppleとどのような契約をしているのだろうか?

いずれにしろ、現状のドコモのラインナップの中で、ある程度のシェアをiPhoneが確保すれば、必然的に国産Android端末のシェアが低下する。ただでさえ壊滅している最近の国産端末の販売数はさらに低下することになるだろう。世界を相手にしているソニー(ソニーモバイルコミュニケーションズ)以外は激しくダメージを受けることになりかねない。

そんな状況の中で僕が最も驚くのは、テレビ機能もなく、防水でもなく、NFC、おサイフケータイ機能、ワイヤレス充電機能も搭載しない、ハード的には世代が違うとも言える端末を人々が求めていることだ。iPhoneはユーザーインターフェースに優れるという面もあるが、結局のところ、大衆にとって、何か学習しなければ使えないものは、そうでないものより受け入れがたいということなのだろう。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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