Androidニュース&アプリ情報メディア

【河野謙三のガジェット・ゴーグル】 安くて使いやすい万年筆ペリカーノJr.を使い倒す

ガジェットという言葉の定義は非常に多岐にわたります。

自分はNexus Oneのようなデジタル・ガジェットが大好きなのですが、それと同じように、文房具も大好きなのです。今回は文房具の中でも、人によっては一番取っつきにくいと言われている筆記用具、万年筆の事を少し書きたいと思います。


万年筆使ってますか?

万年筆というと抵抗がある、と言う人や使っているけどメンテナンスがめんどくさい、またペン先がカリカリして筆記に適していない、と言う人まで様々だと思います。


ですが万年筆は、ペン先がきちんと調整されているものであれば、少ない筆圧でぬらぬらと紙に文字が書け、その名の通り一生ものとしてつきあっていける筆記用具です。

また、最近のペンは非常にロングライフなため、一度購入して、使い切ってしまえばわざわざ替え芯を買う、と言う方も少ないでしょう。そもそも、全てインクを使い切る前にどこかへ行ってしまった、と言う人も少なくないでしょう。

万年筆は、ご存じのようにインクを入れ替える、と言う作業が必要になります。これがめんどくさい、と言う方もいると思いますが、パソコンがこれほど普及し、全てのデータがインターネット上で瞬時にリンクする時代になってくると、このインクを詰め替えるという作業そのものが、なぜか自分には貴重な時間にも感じますし、入れ替えている間、なぜか心の充足感を得られるのです。

そんなめんどくさい万年筆ですが、高いんじゃない? という予想に反して、安いものが多種存在します。いろいろなメーカーの中から自分がお勧めするのが独ペリカン社が発売しているペリカーノJr.です。定価が1500円と安く、Amazonでも1100円で販売されています。

禁断のインク入れ替え手術に挑む


ここからが私の記事らしいところです(笑)。

本来ペリカーノJr.には交換用インクカートリッジが用意されていて、通常の使用方法の場合は、それを入れ替えて使えば良いのです。ですが、万年筆を楽しむ醍醐味の1つは、インクの色の豊富さを楽しむことにあります。

万年筆は、その製造メーカーの純正インクを使うことが好ましい(ペン先を傷めたり、インクが固まってしまわないように)と言われています。これは万年筆を使う人間ならば常識のようなもので、他社のインクを入れるなんて事は禁忌を犯すに等しいことです。

が、そこは1500円万年筆の宿命。楽しもうじゃないか、と!

そこで登場するのがドラッグストアの化粧品コーナーで販売されているアトマイザー(香水)用の注射器です。こいつを使って、他社製のインクを純正インクカートリッジに詰め替えてしまいます。さぁレッツトライ!

まずは本体を水で洗浄する


万年筆の本体に残っているインクを綺麗に水で洗い流します。これが通称「禊ぎ(みそぎ)」です(こら!)。

万年筆のペン先を洗う際は、決して手でつまんではいけません。可能であれば超音波洗浄機という荒技を駆使したいのですが、ほとんどのご家庭にはそのような設備がないでしょうし、ウチにもありませんから、修行僧のごとく、蛇口から流れ落ちる水だけでインクの色が出なくなるまで洗い流します。

注射器をセットします


先程の注射器を組み立てます。

注射器は、100円ショップなどでも販売されているようですので、そちらで購入してもかまわないでしょう。つまり、大差はありません(笑)。

使用するインクはペリカンのターコイズ


結局純正インク使ってるじゃん、という突っ込みはおいといてください。

この神秘的な色が大好きなのと、ボトルインクを所有しているのにわざわざカートリッジを購入したくなかったというケチケチ根性のなせる技とでもお考えください。

インクは少なめに吸い出す


インクカートリッジに入っているインクは実はそれほど多くありません。

しかも詰め替えるという行為そのものを楽しんでいるので、がっつり入れてしまっては楽しみが減るというものです。今回は写真とほぼ同じ量のインクを吸い出すだけにとどめました。

ペリカンのターコイズは紙に出てくると非常に綺麗な色なのですが、ある程度まとまった量のインクになると、色が濃く見えます。よって注射器の中のインクの色も、綺麗な水色ではなくて、濃ゆい色です。たとえるなら、機動戦士Zガンダムに登場するパイロット、カミーユ・ビダンの髪の毛の色。

このくらい入りました


注射器にインクを吸引した後は、ゆっくりと注射器の口をインクカートリッジに入れて、超ゆっくりとインクを入れていきます。

というのも、インクカートリッジはインクの出る口がかなり小さいため、インクを注射器から一気に入れてしまうと、空気の逃げ場がないために大変なことになります(音で言うと、ボフアッ!となって机がすごいことに)。

インクカートリッジを本体にセットする


インクカートリッジを本体にセットするときは、あまりしっかりとした挿入感がなく、「こんな感じかな?」という程度で力を入れていきます。ずるっと抜けなければ問題有りません。

書いてみた

期待通りの綺麗なブルー。これぞターコイズです。

右は別の万年筆で使用しているペリカンのブラウン(茶色)。ブラウンも味があって良いのですが、もう少し遊びたいときなどはターコイズが、やっぱり綺麗ですよね。

昔はインクと言えば黒か紺(ブルー・ブラック)でした。

今でも正式な書類はこの2色、と言うイメージがありますが、筆記時に色の指定がない限り、私は積極的にブラウンやターコイズを使うようにしています。

出先などでも、自分のメモ帳にこれらのインクでメモを取っているとかなり注目されますし、そこから話も広がります。

手間のかかる筆記用具ではありますが、驚くほど少ない筆圧でも文字が書け、かつインクの色でも遊ぶことの出来る万年筆。

ガジェット好きなら、まずは1本始めてみてはいかがでしょうか。


記事執筆者プロフィール
河野謙三
NSP-mono ファウンダー、代表
ブログ:NSP-mono blog、Twitter:@kenzokono

1996年から約7年間、アメリカに在住。シスコシステムズのエンジニアとしてインターネット黎明期に多くのサービス立ち上げに携わる。日本へ帰国後はNTTコミュニケーションズを経て現在は金融に勤務しながらITを中心としたビジネスのアドバイザリー活動を続ける。

読者&編集部コメント欄

この記事のコメント:0 件