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【一条真人的Androidライフ】第128回:AIに動き出したデジタルデバイス

AI処理は今や国レベルの関心を呼んでいるようだ。読売新聞によれば、日本政府もAI処理のための半導体の開発に資金を投入するそうだ。目標は、現在のパソコンやスマホの半導体の10倍以上の処理速度を持ち、それでいて10分の1以下の消費電力だという。

<▲図:AI機能が特徴のSnapdragon 845>

国はその半導体で何をしようというのだろうか? まあ、いい。今、僕たちの目の前にはその国が目指す10分の1以下の性能のAIチップを搭載したスマホがあるのだから。それは例えばファーウェイの「Mate 10 Pro」だったり、Qualcommの新チップの「Snapdragon 845」だったりする。

<▲図:Snapdragon 845がいかに小さいかを紹介する画像>

それにしても、本当に日本はそれを開発してどうしようというのだろうか?

現在、世界のITのメインストリームとなっているのはアメリカだ。Google、Apple、Microsoft、Sun、Intel、Qualcomm、あまりにも多くのものをアメリカが独占している。少しでも日本に技術的なアドバンテージが欲しいのだろうか? まあ、少なくとも後れを取りたくはないのだろう。

今、僕はこれまでとは違う軸線でデジタルデバイスが動き出す可能性があるのを感じている。

2017年、僕はスマートフォンにおいては今後、スマートアシスト的な、すなわち人工知能的なものが伸びるのでは? という気がしていたが、実際にこの傾向は進んでいる。そして、ディープラーニングを活用した機能が重要になってくる。

「AIスマホ」とも呼ばれるファーウェイのMate 10 Proだが、現時点ではファーウェイはAI機能を主にカメラに使っている。Mate 10 Proでは、AIが被写体が何であるかを判断して、最適だと考えられる設定を用意してくれる。この被写体の判別にはディープラーニングが使われている。

具体例でいうと、大量の花の写真を見せ、「これは花だ」ということを認識させているわけだ。ディープラーニングという技術が登場する以前は、花とはどんなものか? という定義付けをして認識させていた。これでは、被写体の認識に手間がかかることは容易に想像できると思う。これがディープラーニングによって、より簡単になった。花かどうかをどのように判断すればよいのか、という定義自体を人間は考えなくて済むからだ。先ほど言ったように、花の写真を大量に見せて、「これが花だ」と指定すれば、あとはAIが勝手にやってくれる。

AIといっても、ディープラーニングの登場以前では年単位で時間が掛かったような問題でも、今では数週間で可能になっていたりする。ディープラーニングは、こうしたAI技術の進化に大きく貢献したという。

おそらくMate 10 Proの機能はこれから色々と発展していくことだろう。

そして、Snapdragon 845のAI機能も気になる。

いずれにしても、今後数年はAIという言葉がデジタルデバイスの1つのキーワードになっていきそうだ。


記事執筆者プロフィール
一条真人
ITジャーナリスト
Twitter:@ichijomasahjito、Facebook:masahito.ichijo
ブログ:一条真人メモ

クラウドサービスからスマートデバイス、デジタルAVまで、デジタル関連のアイテムが大好き。「ハッカー」(日本文芸社)、「PCプラスワン」(笠倉出版)などパソコン雑誌の編集長を経て、小説なども出版して現在にいたっています。PC、IT関連の本は50冊以上書かせてもらいました。スマートフォンは初代Xperia(あまりに美しいデザイン!)、iPhoneなど数機種使っています。

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