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【せう先生のスマホ講座】第30回:「Androidケータイ」は誰のためのケータイ?

GAPSISをご覧の皆さん、「せう」です。こんにちは。「せう先生のスマホ講座」も、今回で30回目です。ここまで続いているのは、一重にGAPSIS読者の皆さんのおかげです。ありがとうございます。

Androidベースのフィーチャーフォン、「ARROWSケータイ F-05G」

それはさておき、タッチパネルの操作に抵抗感があったり、テンキーでの操作にこだわりがあったりして、フィーチャーフォン(ケータイ)から離れることができない、という人は思う以上に多いものです。とは言え、最近のコミュニケーションツールはスマホ・タブレットが前提なので、従来のケータイでは使えない、あるいは使えても制限が著しくかかることも珍しくありません。

ケータイの使い勝手を極力残しつつ、スマホベースのコミュニケーションにも付いて行けるもの――それが、2014年あたりから登場し始めたAndroidベースのケータイです。一部では「ガラケー」と「スマホ」を組み合わせて「ガラホ」と呼ばれているものです(筆者は「ガラケー」という呼び方が好きではありません)。

実は自分、いろいろな事情から、現在メインの携帯電話としてNTTドコモのAndroidケータイ「ARROWSケータイ F-05G」を使っています。果たして、現状のAndroidケータイは誰のためのケータイなのか。実際に使ってみて思ったところを書いてみます。


■操作はケータイと“ほぼ同じ”。“全く同じ”ではない

Androidベース、ということで一番気になるところは操作体系。安心してください。日本で出ているAndroidケータイは、このARROWSケータイを含め、操作体系を従来のケータイに近付けています。ドコモから出ているARROWSケータイなら、テンキー部の配列や、メニューの操作感は最近のiモードケータイとほぼ同じです。メニューキーを押してからテンキーショートカットを駆使する、という使い方をしている人にはうれしい配慮です。

メインメニュー構成はほぼ一緒で、テンキーショートカット操作も広い範囲でOK


プリインストールされている機能(アプリ)についても、Androidスマホ版をベースにしていますが、テンキーや機能キーで操作できるようにカスタマイズが施されています。ただし、従来のケータイよりも浅い機能階層でテンキー操作ができなくなることがあります。また、サブメニューのテンキー操作もできません。方向キーを使えばいいのですが、テンキーを押してサッサッサとできないのは残念です。今後のソフトウェア更新、あるいは後継機ではテンキー操作できるシーンが増えて欲しいものです。

階層が深まるとテンキー操作できないことも……(上の画像は「ドコモメール」)


■「LINE」がほぼフル機能で使える

日本では、「LINE」がスマホベースのコミュニケーションツールの代表格です。特に10代・20代の人と連絡を取る場合はLINEでないとすぐに連絡が取れない場合も少なくないほどです。

たぶん、Androidケータイ最大のメリットがこれ

従来のケータイでもLINEができない訳ではないのですが、トーク(チャット)のリアルタイム更新ができなかったり、スタンプのやりとりができなかったりと、結構厳しい機能制限があります。

それに対して、ARROWSケータイでは、ほぼAndroidスマホ版と同じLINEアプリを利用することができます。スタンプの送受信・購入はもちろん、「LINE電話」も問題なく使えます。Androidスマホとほぼ同じタイミングでアプリの更新が行われるので、不具合修正や新機能の追加もバッチリです。

使い勝手面では、ARROWSケータイの機能キーで操作できるようにカスタマイズされているので、それほど困ることはありません。トークの新着があれば、液晶の背面にある通知ディスプレイにも表示されます。ただし、ケータイ厨としてはテンキー操作が一切できないことが非常に気になります。LINEの操作は、基本的に方向キーをマウス代わりにして行うことになります。そこまでカスタマイズしてしまうと、スマホとほぼ同タイミングでのアプリ更新ができなくなる可能性が高いので、しょうがいない、と言えばしょうがないですが、どうにかしてほしかったです……。

また、ARROWSケータイではアプリの追加ができないことになっている(詳しくは後述)ので、「LINEゲーム」など、追加アプリが必要な機能については使えません。


■ブラウザーは表現力大幅アップ

最近は、ケータイ用のWebサイト(コンパクトHTMLベース)を閉鎖、あるいは縮小するケースが増えて、Webブラウジングでは、従来ケータイだと厳しくなる面が増えてきました。「フルブラウザ」と呼ばれるPCサイト用のブラウザーを使えばある程度PC用サイトを閲覧できるのですが、メモリー容量などの都合から、読み込める要素や容量に制限があり、けっこうイライラしてしまうこともあります。

ブラウザーはAndroid標準ブラウザーベース

それに対して、ARROWSケータイでは、Android標準ブラウザーベースのWebブラウザーを搭載しているので、特にスマホに最適化されたWebサイトの表示にはピッタリです。スクリプトなどでマウスクリック、あるいは画面タップが必要な場合は、方向キーを「マウスモード」にすれば問題なく操作できます。

上の画面では、GAPSISを表示してみていますが、きちんと表示されています。これは、従来ケータイのフルブラウザでは(ページ上の要素が多すぎて)無理だったのです。ケータイでGAPSISを見たい人には、待望の機種と言えるでしょう(((



■アプリは「名目上」追加できない。自己責任でなら……

ARROWSケータイを含めて、国内のAndroidケータイでは「Google Play」にあえて対応していません。理由は簡単で、タッチパネル操作前提で、ハードキー(とくにテンキー)での操作を想定していないアプリが多いからです。アプリを追加できるようにしたところで、快適に使えないだろ、という判断が働いています。au(KDDI・沖縄セルラー電話)の「AQUOS K」は、auスマートパス上にケータイに最適化したアプリを置いているのですが、ドコモのAndroidケータイではそれすらやっていません。

じゃあ、アプリを追加できないのか、と言われるとそうではありません。Androidのアプリケーションパッケージ(APK)ファイルを使って直接アプリをインストールすることはできます。ARROWSケータイの場合は、メインメニューの「ツール」内にAPKインストールしたアプリが表示されます。

「提供元不明のアプリ」をインストールする項目は殺されていない。ということは……

ただし、先述のとおりタッチパネル操作前提のアプリはうまく操作できませんし、そうでなくても操作が難しくなるアプリが多いです。また、そもそもこの方法でのアプリインストールは、Androidスマホ・タブレットでもセキュリティ面でお勧めしていません。「俺は自分の身を自分で守れる!」という人だけ、アプリを追加しなさい、ということです。

アプリが追加できない分は、先述のWebブラウザーでインタラクティブ(双方向性)Webサービスを使うことで何とかしましょう。



■どちらかというと「電話・メールはケータイ、スマホじゃ電話しない!」人向け?

自分の携帯電話選びの基準では、ARROWSケータイのようなケータイは、今までなら間違いなく“アウト”(選外)でした。理由は簡単で、「全部を1台で完結できるケータイ」こそ素晴らしい、と考えていたからです。ARROWSケータイは、確かに従来ケータイと同じ感覚で操作できる上、LINEもほぼ全機能使えることはいいのですが、アプリは追加できないし、おサイフケータイもないので、「全部を1台で」にはほど遠いのです。

では、なぜ今ならOKなのか、というと「ケータイは電話・メール、スマホやタブレットでSNSや動画・音楽」という分業体制を敷いているからです。つまり、ケータイ側は必ずしも高機能である必要がなくなったからARROWSケータイでも受け入れられたのです。

現状のARROWSケータイを含めたAndroidケータイは、自分のような「分業体制」を敷いている人、あるいはLINEをどうしても制限なくケータイで使ってコミュニケーションを円滑に取りたい人には本当に最適です。しかし、「全部ケータイで済ませるもん!」人向けではありません。

ARROWSケータイは2台持ち前提?

「全部ケータイで!」なAndroidケータイは、きっとこの先出てくるはずです。それに期待しながら、筆を置く次第です。


【参考リンク】
富士通/ARROWSケータイ F-05G製品ページ
ドコモオンラインショップ/ARROWSケータイ F-05G製品ページ


記事執筆者プロフィール
せう
ブログ:せうの日記、Twitter:@shoinoue

静岡県三島市で産まれ、静岡県駿東郡長泉町で生まれ育ったアメリカ系日本人3世。見た目が日本人離れしている反動で、身の回りの道具は日本で開発されたものだらけである。ITmedia、andronaviを始めとするWeb媒体を中心に執筆活動を展開。自前のブログ「せうの日記」も宜しくお願いします。

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